ウァオサッカ

もうすぐ、この世界も2150年になろうとしている。

ボクの生まれたのは2128年。

ウァオサッカで生まれた。

千里丘っていう高台に、生まれた家はあった。

高台にあって、めっちゃ環境の良きところ。

家の後ろには大きな公園、バァーッとひろがっている。

緑も多いし、いろんな国々の庭園もある。

万国博覧会の会場になっていた場所だ。


ボクの生まれた家は、その万国博覧会記念公園を見渡せる、いちばん高いところにある。

だから、めっちゃ見晴らし良い。

ずーっと遠くまで見渡せる。


ボクも高台の家から、ベビーカーに乗って散歩に出かけていた。

中学生とか高校生とかのお姉さんとかは、もう背中に羽を生やしていて、高台から、みんなでピューンって空を飛んでいた。

それを見てボクも、いつか、あのお姉さんたちみたいに空を飛びたいなあ~って思っていた。

お姉さんたちみんな、赤や青やピンクや黄色や、色々な色の可愛い羽を背中に持っていて、その可愛い羽をパタパタさせながら、空を飛んでいた。

ボクも、そんなふうに空を飛んでいるお姉さんたちを見て

ボクにも可愛い色の羽も生えたら、その羽でパタパタ空を飛ぶんだ~って思ってた。


家には、大きな庭もあって、そこでボールを転がしたりして遊んでいた。


近くの幼稚園に入った。あそか幼稚園。

幼稚園の砂場で、お城をつくったり、砂場に向かって走って、ひとりでピョ~ンて飛んだりしていた。

ピンクのカバンで幼稚園に行っていた。


幼稚園では、あいぽんっていう女の子と仲良くなって、いつも2人で遊んでいた。


幼稚園のおゆうぎ会で、みんなで魔法少女になった。

ママに、布地でタマゴをつくってもらった。

それを衣裳の内側にかくしておく。

そして

「パッとお手々をたたいたら~」

って歌いながら、タマゴをサッと取り出して見せた。

見に来ていたママたちみんな

「うわーっ!ブラボー」

って言って手をたたいて、驚いていた。


ボクは幼稚園の頃も女の子みたいだったから、あいぽんと2人で手をつないで仲良く歩いていても、まわりからは女の子どうしのお友達のように見えていたと思う。


あいぽんは、幼稚園でいつも

「あやめっちの、およめさんになるーっ」

って言ってくれている。


家にあいぽん遊びに来てくれると、めっちゃテンション高まるから、家の中で飛びまわっていた。

だからママから

「あいぽん遊びに来ると、いつも元気になるね~」

って言われていた。


あいぽんといっしょに小学校に入学した。たちばな小学校。

1年生の時に、運動会で、町対抗リレーの選手になった。

1年生から6年生まで、町の代表1名を選んで、1年生からスタートして、最後の6年生まで、リレーしていく。

ボクは1年生の代表選手になって、スタートした。

みんな接戦だったけど、いちばんで2年生にバトンをわたした。

結局、ボクの町は優勝できて、賞品として学習ノートをもらえた!


ピアノ教室にも通っていた。

まわりみんな女の子で、女の子といっしょに練習できて嬉しい。

先生もきびしかったけど、ピアノを習いにいってるのであって、ピアノで遊ぶためにいってるのではないから、きびしい先生に、ピアノをしっかりと教えてもらっていた。


2年生の時に、担任の先生は

「みんな、好きな鳥を描いてね~」

って言って、白い画用紙をみんなに配った。

「好きな鳥を左向きに描いてね~」

って言ってた。

「左向きですか~」

「そうだよ~!左に向かって飛んでる鳥を描いてね~」


ボクは

「鳥を描いて何するんだろう?」

って思っていた。

でも、左を向いてバァーッと羽を広げて飛んでいる可愛い鳥を描いた。


そしたら算数の時間に、みんなの描いた鳥の絵を先生は持ってきた。

「みんな、かけ算を暗記して、みんなの前で言えたら、自分の鳥も、ひとつづつ進んでいくよ~」

かけ算を言えたら、壁に貼った自分の鳥も、そのぶん進んでいくっていう、そういうやつだった。


3年生になったら、クラスごとにお芝居をやった。

ボクは、バンビの役になったから、ママに言って、ママの茶色い服、何か良いのないか聞いてみた。

ママは、わりと体にピッタリとした、ピチピチの茶色いセーターを出してきて

「バンビなら、これでええんちゃう?」

って言って、服をわたしてくれた。

その茶色くて可愛い服を着て、バンビになって、クラスのお芝居に出た。

ママも観に来てくれていた。


パパはお仕事の出張に何日間か行っていて、おみやげに、恐竜のちっちゃなフィギュアを何体か買ってきてくれた。

「どこに出張に行って、何をしてきたんやろうな~」

って思っていた。


4年生になる時に、お仕事の関係でウァオサッカの千里丘の家から、マッチャマの街へと引っ越した。

マッチャマ城のすぐ近くの家で、マッチャマのパンチョン小学校に転校した。

ウァオサッカもマッチャマも、どちらもめっちゃ良き街だ。


22世紀になってから50年!22世紀も後半に、いよいよ突入する!

きゃあああああ!なんか凄いーっ!

本格的な22世紀も後半から始まるんやなあ!


ボクは、この世界の、お笑いの街であるウァオサッカ、人々の、お互いに笑かして、笑かされての街である、ウァオサッカっていう街で生まれた。だから、究極の世界は、笑う惑星かもしれない!

お笑いの惑星!

笑いのある、笑いの好きな惑星!

ウァオサッカっていう街では、何のお仕事をするにしても、結局は、人を笑わせるためのお仕事なんだと思う。結局は、人を笑かしたくて、みな、それぞれのお仕事をしているんだと思っている。ウァオサッカっていうのは、そういう街だ!


笑いの惑星、それを夢みて、この世界で、楽しくお仕事するのも良いことだなあ~って思う、今日この頃であるっ!


ボクは毎晩、王女様のお相手をして、王女様とえっちしているのも、ボクのお仕事として考えているけれど、えっちと同時に、王女様を笑わせるっていうことも、ボクの大事なお仕事だと思っている。


毎晩、王女様に、面白いネタを披露して、えっちしながら王女様を笑わせているのも、ボクに与えられた大事なお仕事である。


数か月過ぎた、ある朝

「ウァオサッカ教育大学に行って、小学校の先生になりたいです」

って、ボクは王女様に言った。

「えーっ?あやめっち、小学校の先生になりたいのですかーっ?」

「あっ、はいっ!ウァオサッカ教育大学を受験しようと思っています!来年の入試を受験して、合格したら、春から教育大学に通いたいです」

「えーっ?でも、あやめっちなら、子どもたちと遊んでいるのも似合ってますね」

「あはは、遊びもしますけど、ちゃんと教育もやりたいです」

「あやめっち、ちっちゃい子ども好きですからね」

「そうですね」


翌年、ウァオサッカ教育大学小学校課程の美術専攻に合格した。

ウァオサッカの街に、またまた移り住むことになった。

ウァオサッカの街は、笑って笑かされて、人々のつながっていってるところ大好きや!

誰かに笑かされた分、自分もまた誰かを笑かしていく...そうやって人と人との、つながっていくところ、ボクは大好きや!

だから、そんなウァオサッカの街で生まれて、ウァオサッカの街で育ったことを誇りに思っているし、世界中でウァオサッカの街、いちばん好きやと言える!


ユタポンとユカリンの住んでいる部屋で、またいっしょに暮らすことにした。

ユタポンは、お笑いの舞台に出演しているし、ユカリンは、中之島美術館で学芸員として働いている。


月曜日から金曜日までは教育大学に通っている。

そして土曜日と日曜日には、アナ王女様のところに行っている。




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