霊の女の子

寮のボクの部屋には、どうも、何か霊の存在を感じている。

最初に部屋に入った時も、なんとな~く、何か、目には見えてない何か、存在してたりしてるのかな~って、ちょっと思った。


最初に入った瞬間、何かお人形さんの存在を感じたんだけど、部屋にはお人形さんなど、どこにもなかった。

だから、気のせいなんかな~って思っていた。

それか、前の住人の持ってたお人形さんなのかなーって。

もしかしたら、前の住人の方は、そのお人形さんを愛していて、その愛してる気持ちの雰囲気のようなものだけ、今も存在してたのかもな~って。


でも、毎晩、課題も終わって、寝ていたら、なんとなく、何かに体を優しく抱きしめられてるような感覚を感じるようになってきた。


夜、寝てて

「あっ!今、何かに優しく抱きしめられてるような感じするぞ」

って思って、ふと時間を見ると、けっこう1:11なこと多い。


だんだんと、優しく抱きしめられてて、そのあと顔にキスされてるように感じてきた。


ボクは、もともと、ちっちゃい頃から女の子みたいな体だったけど、毎晩、何かに体を抱きしめられてるうちに、もっともっと柔らかで曲線的な女子の体になってきたな~って、思うようになった。


なんとなくだけど、ボクの体を抱きしめてる何かは、どうも女の子なんちゃうかな~って思う。

女の子のような雰囲気をめっちゃ感じてしまうのだ。

女の子に抱きしめられてるような、そして女の子に顔にキスされてるような、そんな雰囲気を感じてしまう。


それから、部屋にいると、なんだかめっちゃ絵を描きたくなってくる。

だから、いつも学校の課題をやりながらも、ノートに絵を描いている。


絵の好きな女の子の霊なのかもな~っ。


寮長さんに聞いてみても

「そんな話は聞かないわね~」

って言っている。


近くの部屋の人に聞いてみても

「入ってから、そんな霊のことは聞いたことないで~」

って、みんなに言われる。


朝から学校に行って、夕方部屋に帰ってきて、帰ってきた時は、特に感じてないけど、晩ごはんを寮で食べて、部屋に戻ったら、なんとなく霊のような存在を感じてしまう。

そのあと課題をやり始めると、なんだかめっちゃ絵を描きたくなってくる。


そしてノートに絵を描きながら、課題を終わらせて、夜、寝てたら、体を優しく抱きしめられて、そのうち顔にキスされてるように感じてくる。


だから、その女の子は、もしかしたら、ボクのこと好きなのかな~って思うようになった。

ボクのことを好きだから、それで毎晩ボクの体を優しく抱きしめて、キスしてくれてるのかな~って。


日曜日とかに昼間、部屋にいても、特に何か感じるわけでもない...

日曜日の昼間は寮にみんないて、うるさいからかもしれへんけども...


1回生の間は、ずっと、部屋では、そんな感じで過ごしているなあ~。


学校でユタポンに、そのことを話したら

「面白そうやん」

って言って、部屋に来てくれて、夜、泊まってくれたけど、特に何も感じていなかった。

ボクは、やっぱりいつもみたいに感じたから

「あっ!今、ボクのところに来てるで」

って説明しても

「別に何も感じへんで」

って言って、ユタポンには何も感じていなかった。


やっぱりボクのことを好きなんやろか...


学校に、わりと霊感の強いユカリンって子いて、その子にも話をして、部屋に来てもらって、夜も泊まってもらった。

だけど、やはりボクの体を優しく抱きしめてるのを感じてる時も、ユカリンは特に何も感じてはいなかった。

「何かしら、存在してるような気はするんやけどな~」

とは言っていた。


寮の近くの部屋の人に来てもらっても、みんな、やっぱり特に何も感じてはいない。


だから、ボクは、たぶん共存してれば、それで良いのかもな~って思って、毎晩、霊に体を優しく抱きしめられて、キスされてるように感じても、まあ、なんとなく、優しさだったり、愛のようなものも感じたりもしてるから、ええのかな~って思っている。


部屋で絵を描いてると、なんとなく、ボクの絵を見てくれてるような気もしてくる。

だから絵も、きっと好きな子なんやろなーって思ってる。

ボクも、絵は好きやから、描きたくなったら、いつもすぐ描くようにしている。

なんか、めっちゃ上手く描けている。


学校では服飾概論の授業で、スカートのあと、パンツ、シャツ、ジャケットと製作していった。

あとは文学概論だったり、語学だったり、演劇概論だったり、美術史だったり、そういうのを学んでいる。


ある日、夢にお人形さん出てきた。

南の島のダンサーさんのようなお人形。

でも夢の中で泥んこだった。


夢から覚めて、なんとなく、寮の庭に行ってみた。

草むらを草をかきわけながら軽く探していたら、お人形さんを見つけた。

見たら、夢に出てきた南の島のダンサーさんのお人形だ。

そして、めっちゃ泥んこ。

お湯で、きれいに洗いながしてあげたら、ニコッて笑ってくれたみたい。

部屋に持っていって、棚に飾って置いた。

そしたら、フワッて髪の毛と腰蓑、少し揺れたから

「ああ、きっと踊ってくれたんやな~」

って思ったら、またニコッて笑ってるようだった。



1回生の初めの頃

「あやめちゃん、学級委員になってくれへんかな~?」

って先生に言われた。

学級委員は、大学の準職員的なお仕事なので、こちらも、大学から給料をもらえた。

学級委員とヌードモデルというお仕事もこなしながら、大学に毎日通って学んでいる。


演劇部でやっているイベントでの入場料やグッズの販売などでも収入を得ている。


学級委員は、毎週、委員会議に出席して、学校運営に関して、それぞれの意見を交換している。

そして、学級委員はみんな、何かしら学校での係りになる決まりで、ボクは文化祭のイベント係りになった。


文化祭イベント係りの委員長は、3回生の先輩で、ボクは副委員長に選ばれてしまった。

それから、毎日、授業終了後の放課後に、イベント係りで集まって、文化祭のイベントをどうするかを話しあっている。

だいたい例年、ミュージシャンに文化祭に来てもらい、講堂でライブをやる感じになっていて、今年も、その方向でいくことに決まった。


演劇部のほうにも顔を出してみたら、演劇部でも文化祭で何かやることになった。

服飾学部もある学校なので、オリジナルな衣裳を作ることをメインにして、演劇的な見せ方をしようって話に決まった。


イベント係りのほうの会議では

「今年はミュージシャンに来てもらうのでなく、学校の音楽サークルの人たちの演奏会にすべきやと思います~」

っていう意見に従って、音楽サークルを10組選んで、文化祭当日ライブを行うことになった。

音楽サークルの中で出場出来る10組を選ぶためのオーディションも行うことにした。


演劇部のほうでは、空をテーマにした衣裳をまず作ることになった。空を飛びやすい機能性のある衣裳に加えて、空を飛んでいる時の可愛さを表現しようってことで決まった。


イベント係りでは、文化祭のためのステージ設営と、当日の会場での誘導や受付、音響、照明、美術などをやることになった。

ボクも、当日までの放課後に、ステージの美術製作を行った。


演劇部で披露する衣裳も製作して、当日は空を飛んでいる演出で、ショー的な感じで衣裳を見せることになった。

ボクも、自分で作った衣裳を着て、空を飛び回って、ショーに参加した。


文化祭では、イベントも演劇部も、どちらも好評を博すこと出来て、学校から両方に対して表彰された。学校長から金一封も頂けた。


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