アイドル
文化祭の日。
美術部の展示教室で、たまたま1人で、教室の中に座って、来場者の受付をしていた時。
1年生っぽい女子、教室のドアをガラガラっと勢い良く開けて入って来た。
ボクのところにピューッて走ってきて
「ハイッ!これ受け取ってください」
って言って、アクセサリーをボクに手渡してくれた。
あっ!これは...アイスクリームのスプーンに名前を描いて作るアクセサリー...どこかのクラスで、そういうアクセサリーのお店をやっていたな~。
見ると、『あやめっち』って描かれてある!
あーっ!ボクの名前で作って持って来てくれたのかあああ!
「あやめっちさんは好きな人、誰かいるんですか?」
って、その女子はボクに聞いてきた。
「えっ?好きな人?...えっと~...まあ...」
「いるんですか?」
「えっ?あ、はい...」
「いつも美術部でいっしょの子ですか?」
「あ...そう...ですか...ね...」
「わかりましたっ」
そう言って、その女子は、またピューッて走って、教室を出て行った。
かわりに教室に香絵ちゃん入って来た。
「どうしたの?今の子...めっちゃ紅くなってたよ~」
「えっ?...ああ、なんか、アクセサリーを持って来てくれたみたい...」
『あやめっち』と描かれたアクセサリーを香絵ちゃんに見せた。
「あーっ!なにこれーっ?めっちゃ可愛いーっ!...他のクラスで作ってるアクセサリーやんっ!」
「そうみたい...」
「作って持って来てくれたんやな~」
「そうやな~」
「可愛いね」
「うんっ」
「あやめっちのこと好きなのかなあ」
「そうなのかなあ」
高3になった。
香絵ちゃんとオッキナワン・アート大学合格を目指して、日々対策を練っている。
毎日、香絵ちゃんと美術部で絵を描いている。
空里は、ボクと同じキンララ女子高の、同じ工芸科に入学してきた。いつも、ボクの真似をしたがる空里だ。
同じ女子高なので、空里も毎日いっしょに通学出来て喜んでいる。
空里も、可愛いブルーの羽で空を飛べるようになったので、2人でいっしょに空を飛んで高校まで通学している。
空里も美術部に入部してきたので、放課後には同じ美術部でいっしょに活動している。
香絵ちゃんと空里も仲良くなったみたいだ。
美術部では空里とボクは、2人でアクセサリーを作っては、由菜お姉ちゃんのサフラッコ島のアクセサリーのお店に送っている。
お店に飾るとすぐ売れているらしい。売れたら、売り上げの半分をボクと空里に、それぞれ送ってくれる。
ボクは香絵ちゃんといっしょに、絵画教室などで、ヌードモデルのお仕事をやらせてもらってるけど、空里も、それをやりたいって言って、3人でモデルをやるようになった。
香絵ちゃんのグリーンの羽と、ボクのピンクの羽と、空里のブルーの羽で、3人のヌードはめっちゃきれい。
絵画教室の生徒さんたちの中にも、3人それぞれのファンも増えはじめてきて、毎回、推しの色に合わせた服を着て来てくれたりして、熱心に推しの子のヌードを描いてくれている。
たまたま絵画教室の生徒さんの中に、音楽プロデューサーさんもいて、ボクと香絵ちゃんと空里とで、3人組のアイドルユニットとして、曲を出そうっていう話になった。
「ヌードモデルズ」っていう名前のアイドルで、「ボクらヌードモデルズ」っていう曲を出すことになった。
絵画教室でのファンの方々も、そのまま「ヌードモデルズ」ファンになってくれて、ライブや特典会にも来てくれるようになった。
推しの羽の色に合わせたサイリウムを振ってくれている。
高校の服飾部のほうは、部長の葵ちゃん、副部長のしおりんとで活動をしている。
新入生も新たに数人は入部してきてくれたみたいだ。
葵ちゃんの実家は洋服屋さんだから、服飾部の活動もめっちゃ似合っている。しおりんと2人で協力しながら服飾部を引っ張っていってる感じだ。
そして空里は服飾部のほうにも入ってきた。
葵ちゃん、しおりんとも仲良くやっている。
空里は結局、美術部と服飾部に入っている。
美術部のほうでアクセサリーを製作しているけど、そのうち、アクセサリーは服飾部の活動でもあるなーって思いはじめたみたいだ。
そして、ある日、美術部の香絵ちゃんと、服飾部の葵ちゃんとしおりんを集めて、空里は4人で
「美術部と服飾部って合体したほうが良いのか否か」
について話し合っていた。
「どちらも、わりと少人数なので、1つになっても良いのでは...」
って話になってきた。
そうなると部の名前は
「美術服飾部」なのか「服飾美術部」なのか
どちらにするのか...ってことになった。
話し合っているうちに
「でも美術部は絵を描くし、服飾部は服を作るんやから、やっぱ別の部なのかな~」
「アクセサリーは服飾でもあるけど、美術っぽくもあるから、どちらの部で作ったとしても、それで良いのでは...」
ってなった。
それで、1つの部として合体することにはならなくて、結局は、そのまま、美術部と服飾部として、それぞれの活動をしていこう!ってことになったようだった。
空里は美術部と服飾部のどちらにも所属して、2つの部で活動している。
高3の文化祭。
高校生で最後の文化祭。
ボクは美術部では空里とアクセサリーを作ってて、それを展示して販売した。
香絵ちゃんは、もっぱら絵を描くことに集中していて、迫力ある絵を描いて展示している。
去年の修学旅行の時のバスガイドのフジミちゃんも見に来てくれた。
「あーっ!あやめっち、ひさしぶりーっ」
「あーっ!フジミちゃんーっ!来てくれたんやあーっ」
「うわ~っ!可愛いアクセサリーいっぱいある~」
「えへへ...そうでしょ~」
「ぜんぶ、あやめっち作ったの?」
「ボクと妹の空里とで作ったんだよ~」
って言って、フジミちゃんに空里を紹介した。
空里は
「お姉ちゃんのあやめっちをいつもお世話になってます...」
って、フジミちゃんにあいさつしていた。
フジミちゃんはボクと空里のアクセサリーをめっちゃ気にいってくれて、いっぱい買っていってくれた。
それから香絵ちゃんの絵も見ていた。
「すごいダイナミックな魅力ある絵ですね~」
って誉めていた。
「ありがとうございます~」
って、香絵ちゃんも喜んでいる。
香絵ちゃんは
「来年の美術部の部長は空里ちゃんになるのかな~」
って、空里に言っていた。
「えーっ!そうかなーっ?」
「しっかり美術部を受け継いでいってね!」
って、香絵ちゃんに言われていた。
それから、服飾部のほうにボクと空里のいる時に、フジミちゃんは服飾部も見に来てくれた。
葵ちゃん、しおりん、空里そしてボクの、それぞれの作った服を着てのショーも見てくれた。
「どれも、めっちゃ可愛い~」
って言って
「みんな可愛くて、どれにするか、なかなか選べないね~」
って言いながらも、その中から、1人1点づつ計4点を買ってくれた。
そして、フジミちゃんはボクに
「はいっ!これ、また、あやめっちに、あげるから、ちゃんと使ってねっ」
って言って、紙袋を手渡してくれた。
「きゃあああ!ありがとう!フジミちゃんーっ!使わさせていただくわ~」
って、飛び上がってフジミちゃんに抱きついた。
フジミちゃんはボクにチュッてしてくれて
「じゃあ、またね~」
って言って、教室を出て行った。
「ありがとう!フジミちゃんーっ!」
「ありがとうございましたーっ!」
「またねーっ!」
みんなフジミちゃんに手をふっていた。
服飾部のほうは、これで、部長をしおりん、副部長を空里にして、新たな活動を始めている。
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