修学旅行

高2になった。葵ちゃんと、また同じクラスだ。

高2の初日は、まず、1年生に対する部活紹介を体育館の舞台の上から葵ちゃんといっしょに服飾部として行った。

それぞれの部活の部長さん副部長さんとで、その部の活動の説明と、それから部への勧誘もやった。


うちらの服飾部にも後輩の1年生も1人、入ってくれた。

しおりちゃん。

しおりんって呼んでいる。

放課後に服飾部の教室で3人で服を作っている。

しおりんも、めっちゃ服の好きな子だ。

ミシンの扱いも上手。

文化祭で、ショーをやって販売することを目標にして3人で服を作っている。


ラブ先生に

「部費で裁断机の大きくて丈夫なやつ、ほしいので買って~や」

って言いかけたら

「えっ?」

って顔をされたので

「服飾部にも新入生も入りまして、服飾部としての、より良い活動のために、大きめで丈夫な裁断机を必要だと思われますので、服飾部の部費で購入させてもらったりなんか出来ますでしょうか?」

って、丁寧に言い直した。

「裁断机必要なのねっ!わかったわ!部費から購入しましょう!」

「やったあああ!ありがとうございます~」


部室に戻って、しおりんに

「言ってみるもんやな~」

って言ったら

「学校の部活動なんですから、部費で何か必要なものを購入することは当然のことですよ~」

って言われた。

「あっ!そうなん?」

って葵ちゃんに言ったら

「しっかりとした裁断机は、裁断したり縫製したりして、服を作るのにも、ぜったい必要なもんやからねっ!そうだよねっ?しおりんっ!」

「そうですよ~」

って2人に言われた。


「大きな裁断机あれば、デザイン画もちゃんといいの描けるし、何よりも作図したりパターンをひいたりするのにも、ぜったい必要ですからねっ!部長!」

って、しおりんに言われたから

「今日から部長は葵ちゃんです~!副部長はしおりんです~」

って決めてしまった。


数日後に、大きな裁断机、服飾部の部室に運び込まれた。

「おおーっ!いい裁断机やんっ!」

「これで、しっかり良き作図もパターンも、それから裁断や縫製も出来ますねっ!」

「ほんまやな~!良かったわ!」


ラブ先生も部室まで裁断机を見に来てくれた。

「うわっ!めっちゃ良い裁断机やんっ!これで服飾部も、しっかり活動していけますねっ!」

「そうですねっ!」

「文化祭に向けて作っていこう~っ!」

「おお~っ!」

良き裁断机も届いたので、みんなのやる気も高まった。


高2の修学旅行で、オッキナワン島でいちばん高いフージ山に登ることになった。標高3777メートルの山だ。


高校に集合してバスに乗った。

いちばん前の席に葵ちゃんといっしょに座った。

いっしょにって言っても、1つの席に2人重なって座るっていう意味ではないよっ!

そんなの、わかってるわっ!

いや、間違える人もいるかと思って...

ええから、先に進んでっ!


空へと舞あがって、ビュイーンと山の5号目まで飛んで行った。

バスガイドさん、めっちゃ可愛かったので、いちばん前の席で、じ~っとバスガイドのフジミちゃんのことばっかり見つめていた。そして色々とお話した。

「ボクは可愛い下着めっちゃ好きで、いっぱい集めてるんだよ~」

「いいわね~。わたしも好きなのよ」

ってフジミちゃんも言っている。


5号目に到着した。ここからは、歩いて山に登って行く。

「わたしはバスで、みなさんの帰りを待ってますね~」

ってフジミちゃんは手をふっている。

「行ってきます~」

ボクもフジミちゃんに手をふった。


ここからは、葵ちゃんと手をつないで山を登りはじめた。

ちょこっとだけ飛んだりもした。

登るにつれて、だんだん見事な景色になっていった。

木々も雲も、下に見えた。


頂上付近には大きな赤い鳥居も立っていた。

その鳥居をくぐったら、急に真っ白な濃い霧、立ち込めてきた。

でも、めっちゃ神聖な雰囲気で、フージ山の女神様に

「よく、ここまで登って来てくれましたね」

って祝福されてるような感じだった。

しばらくの間、辺り一面、真っ白なままだった。

葵ちゃんの他には真っ白で、みんなのことも、まわりの山の景色も何もかも、真っ白な霧の中で見えない。


しばらく霧の中で葵ちゃんと2人で手をつなぎながら、じっとしていた。


「あやめちゃん、こんなところで何してるの?」

って声だけ聞こえてきた。

前、住んでたマッチャマのお城のお姫様、ユーリ姫の声だ。

「あれっ?葵ちゃん、今、何か声、聞こえた?」

「えっ?聞こえないよ...」

「あっ、やっぱり?」


そしたら、また

「あやめちゃん、何してるんですか?」

ってユーリ姫の声、聞こえてきた。

「修学旅行の登山途中で真っ白い霧に包まれているんです」

「あら。その山の頂上では、よく真っ白な霧、発生しますからね。もう少ししたら、きっと晴れますよ。晴れたら山の景色を絵にでも描くと良いわね」

「わかりました。フージ山の絵を記念に描いてみます。わざわざありがとうございます~」


「えっ?あやめっち、どうしたの?」

って葵ちゃんも不思議そうな顔をしている。

「ユーリ姫っていう、マッチャマのお城のお姫様の声、聞こえてきたから、それに答えてたんだっ」

って葵ちゃんに説明した。


やがて、またフワーッと霧も晴れ渡り、もとの景色に戻った。

みんなキャアキャア騒ぎながら、山を降りて行った。


ボクも葵ちゃんと手をつないで山を降りた。


5号目でみんなと集合してバスに乗った。

フジミちゃんにも

「白く濃い霧、発生してたみたいだったけど大丈夫だった?」

って聞かれた。

「大丈夫だよ。でも霧の中で、マッチャマ城のユーリ姫の声を聞いたんだっ」

って答えた。


宿泊先に行き、みんなでお風呂に入って、食事した。


部屋から山の雄大な姿、よく見えたから、ボクはスケッチブックに、山の絵を描きはじめた。

山の絵を描いていたら

「あやめっち、ちょっと散歩しよう」

って、同じクラスの女子に誘われた。

部屋を2人で出て、手をつないで近くの森を散歩した。

湖の湖畔に来たら、女子にキスされた。

「あやめっち可愛いから好き」

って言われた。

その女子、香絵ちゃんは

「あやめっち、いっしょに芸術大学に行こうよ」

ってボクにキスしながら言ってきた。

「あやめっちといっしょに芸大で学びたいんだ」

「えーっ?芸大?...うん、いいよ」

「やったあ!ぜったいだよ!約束だからね!ぜったいにいっしょに芸大に合格するんだよ!」

「うん、わかった。なるべく芸大に合格出来るようにする」

「なるべくじゃなくて、ぜったいにだからね!ぜったいに2人で合格するんだからね」

そう言いながら、香絵ちゃんに、何度もキスされた。

それから、また手をつないで宿舎へ戻った。

「もう1回、お風呂入ろう」

って香絵ちゃんに言われて、いっしょにお風呂に入った。

2人きりだったから、お風呂の中でもキスされまくった。

「あやめっちと芸大に行くんだあ~」

って何回も言っている。

「あやめっちの羽は、可愛いピンクなのね」

「香絵ちゃんの羽は、カッコ良いグリーンなんだね」

お風呂の中で、2人で抱きあって、えっちした。ボクの体は、女の子みたいに柔らかくて曲線的で、だから2人でするえっちも、女の子どうしでするような可愛いえっち。


部屋に戻ったら、葵ちゃんに

「どこ行ってたの?」

って聞かれた。

「クラスの香絵ちゃんって子に、いっしょに芸大に進学しよう!って誘われた...」

「えーっ!芸大に進学するの?あやめっちも...」

「するって答えてもーた」

「えーっ!ほんまにーっ?」

「いっしょに芸大に合格しよう!って言うもんやから...」

「うわ~っ!そうなんや~っ!芸大に進学するんや~っ!あやめっちは~っ!その香絵ちゃんといっしょに~っ?」





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