ママと空里の羽

「ほな、撮っていただけます?」

ってシャワー室から出て来た。

可愛いバスローブを着ていた。

「じゃあ、こっちのソファでお願いします」

「あっ、このソファなのね」

「なんで、そんなに嬉しそうなん?」

「いや、昔を想い出してもうて...そう言えば、こうやって、よう撮ってもろてたなあ~って思って」

「そうやったんや...それで、めっちゃきれいな体なんやね」

「そやで。あんたも将来、写真家になるかもしれんから、よう練習しときや」

「ハ~イ。お願いします~」


それからママはバスローブを脱いで、ソファに寝っ転がった。

色んなポーズをしてくれたから、ボクはママのヌードをいっぱい撮ること出来た。

ママの背中の羽は、きれいな黄色い羽だ。

羽をパタパタ振るわせるしぐさもめっちゃセクシーだった。


「なかなか、きれいに撮れてるやないの。写真家の腕もありそうやね」

「ありがとう」

「色んな良きお仕事出来るとええね」

って言いながら、普段の服を着て、またキッチンに戻って行った。


空里の部屋に行って、空里にママの黄色いきれいな羽を見せてあげた。

「きゃあああ、こうやって、あらためて見てみると、めっちゃきれいな羽してる」


「空里も中2やから、きれいな羽に成長するからね」

「あれから、また、もうちょっと、はえてきてるみたいだよ」

って言って、空里は背中を見せてくれた。

ちっちゃい羽の先っぽ、ちょっとだけ背中に、はえはじめてて、今では2~3センチくらいになっている。

「うわ~。可愛い~」

「何色なのかなあ~?」

「やっぱりブルーっぽいかも...」

「うわ~、空を飛ぶのにカッコ良いかも~」

って喜んでいる。


高校生になって、服を作りはじめた。

ママも、昔は服飾の専門学校を卒業して、デザイナーとして、自分で服を製作していたらしい。

高校生になったら、ママも、そういう自分の話をしてくれるようになった。


「あやめっちに、ちょっと見せたいもの、あるの」

って、ある日ママに言われた。

「えっ?なに?ママの見せたいものって?」


「これはね~、ママの服飾専門学校時代に、コンテストで候補になった作品なのよ~っ」

って言って、押入れから、ダンボールを引っ張り出して運んできた。

開けてみたら、中から、めっちゃカラフルな面白そうな服、出てきた。


「うわっ!ピンクと黄色とブルーと赤と...めちゃめちゃカラフルな服やな~」

「そうやろ~!ママ、カラフルなの好きやったから...専門学校の学生の頃は特にねっ!」

「そうなんや...ゴールドも使われている!」

「あははは!コンテストやから目立つようにっていうのもあるけど、もともと色んな色を使うの好きやったな~!」

「でも、めっちゃ斬新で未来的な感じするよ」

「そうやろ!あやめっちに、そう言ってもらえると、めっちゃ嬉しいわっ」

「ほんまに!これをもっと、何て言うか...洗練させるって言うか...」

「洗練させる?」

「えっと...もうちょっと、カッティングをシャープにして、同時に柔らかさも出して、素材の手触りも、もっとマイルドにして、手を加えれば、今でも...って言うか、未来に、いけそうな気する」

「あははは!なるほど!言ってることママにも、めっちゃ良くわかるわっ!あやめっち、鋭いな!」

「そうなん?」

「ママの言いたいことを、そのまま言ってくれたもん...」


それからママは押入れからミシンを持って来た。

「ママの学生の頃に使っていたミシンたち」

「色んな種類あるねっ!」

「そうやで!布地を普通に縫うミシンとか、端っこを処理するミシンだとか...」

「うわ~っ!めっちゃ面白そう!」

「あやめっちにあげるから使ってみ!」

「やったあああ!ありがとう」

「いつでも教えたるから、何でも聞いてねっ」

「うんっ!わかった!使ってみる!」


家に葵ちゃんの遊びに来てくれた時にミシンを見せた。

「これなっ!ママの使ってたミシン!こないだ、くれたんやで!」

「うわっ!めっちゃええやんっ~」

「葵ちゃんも、ウァオサッカの言葉になってるやんっ」

「そやねんっ!ウァオサッカの言葉、うちも好きやし、今は全世界的に、ウァオサッカの言葉、めっちゃ流行ってるからな!世界中の人、ウァオサッカの言葉みんな真似して、しゃべってるから...」

「ほんま、それな!」

「流行語になるのも、今、ウァオサッカ弁ばっかりなとこもあるし...」

「そやな~」

「めっちゃ離れてるところの人も、ウァオサッカ弁をしゃべったりしてるから、笑てまう」


「あっ、そうそう!それでな!これはママにもらったミシンたちで、みんな結構、高性能やねん」

「そうなん?」

「使ってみると、めっちゃ使いやすいし、縫ってても面白い」

「ええなー!」

「葵ちゃんも使ってええよっ!」

「ほんま?」

「使いたい時に、いつでも来てくれたら、部屋で使ってくれて、ええから」

「うわっ!やったあ!」

「高校の工芸科でも活かしていこう!」

「そうやな!」


高校で葵ちゃんといっしょに服飾部を作ろうっていう話になった。

工芸科の担任のラブ先生に、服飾部の顧問になってもらおうと、先生のところに、葵ちゃんと行った。

「ラブ先生こんにちは~」

「あら、こんにちは~」

「あのなっ!今度うちらで服飾部を作りたいと思ってるんです」

「あっ、そうなんや!」

ラブ先生もウァオサッカ出身なので、いつもよくウァオサッカ弁でしゃべっている。


「それやったら、この新クラブ創設願いに記入して提出してねっ」

って言われて、用紙をもらった。


「それでラブ先生に服飾部の顧問になってほしくて...」

「先生!服飾部の顧問になって~や!」

「なって~や!じゃないでしょ!頼みごとする時は...」

「あっ!そうやった...じゃあ先生!」

「えっ?なに?どないしたん?...2人で先生のところに来るなんて珍しいなあ」


「先生も知ってるくせに、そこから始めるんですかーっ!」

「先生まだ聞いてませんよってとこから始めるんですかーっ!」

葵ちゃんもボクも、めっちゃおかしくて笑てもた。


「ええから!どないしたん?2人とも!先生に何か用なん?」

「えっとな...先生、服飾部の顧問になっていただけないでしょうか?」

「服飾部の顧問?...先生、すでにジャズ研の顧問やってるしな...」


「えーっ!先生ジャズ研の顧問やったん?」

「そやで」

「それは知らんかった...」

「先生ジャズ好きなん?」

「うんっ!めっちゃ好きやねん」


「あっ、でも、すでにジャズ研の顧問でもいいから、服飾部の顧問にもなってくれへん?...じゃなくて...服飾部の顧問にも、なってもらえないでしょうか?」

「う~ん、どうしよっかな~」


「ええから!ええから!」

ボクは葵ちゃんにも同意を求めた。

「なあ、ええよな?」

葵ちゃんも

「ええよ!来んでええから!」

って応えた。


「あんたらがええかどうかとちゃうねん」

「大丈夫大丈夫」

「あんたらが大丈夫かどうかとちゃうって言ってるやろーっ!」


それからラブ先生はちょっと考えてて

「まあ、ええわっ!顧問になったるわっ!」

「やったあああ!」

「ラブ先生めっちゃ好きやあ!」


「そんなことはええから、はよ用紙に記入して提出してねっ」

「わかりましたーっ!」


「マンドリン部は、どうしよ?」

「そやな!どうしよ」

「ちょっと考えてみるか」

「そうやな」


2~3日考えてからマンドリン部のほうは、2人とも、やめることにした。

結衣先輩のところに2人で行って

「あの...2人で服飾部を始めるんで、マンドリンをやめます...」

「えーっ!そうなんやあ...」


「いろいろ教えていただいて、ありがとうございました」

「マンドリンもめっちゃ可愛くて好きなんですけど...」


「まあ、しょうがないねっ。またマンドリンやりたくなったら、いつでも来てねっ!いつでも歓迎するから...」

「うわ~っ!ありがとうございます~」

「マンドリンの音色も、たまには聞きに来てやってね!」

「あっ、ハイッ!」

「マンドリンも、あやめっちと葵ちゃんにきっと会いたいはずやからねっ!」


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