第7話 怪物の正体は…




日向達はヘイデンの案内で、フェンスの入り口まで歩いていた。

軍人はヘイデンの肩を借りて歩いているが、相当な事故だったようで、先程まで壁に持たれていた背中は土まみれで所々焼けていて、ぼろぼろだった




日向達がヘリコプターで着陸した建物は、どうやら軍基地の一つの建物だったようで、周りにはいくつか建物が並んで建っており、全て3階ほどの高さの連絡通路で繋がれていた。


そして、そのあたり一体を囲うようにフェンスが設置されていたが、日向達が降りた非常階段だけはフェンスの外にあったようだ。




フェンスの入り口まで4人で歩いている間、日向はさっきの怪物についてずっと考えていた。


肌は青緑がかっていて、明らかに動きもおかしかったのだが、体の構造的に

…どう見ても人間だった…


なぜ人間があの怪物になるのだろうか…

どうしてあの怪物に襲われると私たちも怪物になってしまうのだろうか…



自分で考えていても、不安や恐ればかりが出てきて一向に真相はわからなかったので、聞いてみることにした。



「さっきの怪物って…なんだったんですか…?」

︎「…」



軍人に聞いてみたが、軍人は下を向いて黙ったままで、教えてくれそうになかった。


すると、ヘイデンが日向に話しかけた



「ん?君も見たのかい?を」

「ぞ…ゾンビ!?」「さっきのはゾンビだったのか??」

日向が驚くと同時に静かだった紫郎もとつぜん話に入ってきた。




ゾンビ…聞いたことはある…


だが日向はそういった映画などを見たことがなかったため、いまいちゾンビというもの知らなかった。


「先輩はゾンビって知ってるんですか?」

「あぁ!もちろん!」


まってましたと言わんばかりに紫郎はワクワクとした表情で日向に話し始めた



「ゾンビというのは架空の怪物で、元はドラキュラから派生したものだと言われている。例えば、太陽光が苦手、とか、噛み付いて仲間を増やすだとかの要素だな。


だが、ゾンビはドラキュラと違って、ゾンビ特有のウイルスを持っていて、ウイルス感染で広がる物語が多いんだ。」



ん…?神話や実際の話ではなく、架空の…?

「架空の怪物が実際にいるんですか…?」


誰かが作った怪物にも関わらず、

実際にこの世界にいるというのは世界のバランスが崩れてしまうのではないだろうか…



「あぁ、まあそのゾンビウイルスの開発に成功した人間がいて、5年前にこの島でそのウイルスを使ったパンデミックが起きたんだよ。」

とヘイデンは何食わぬ顔で応えた。



まさか架空のウイルスを作れるほどの大天才がいるのだろうか…と日向はその話を疑いたかったが、


自分がついさっき目の前で見た怪物を証明するには現実味のある話だった。





「パンデミック…ということは相当な数の被害者が出たのではないか…?」

紫郎先輩は『パンデミック』の意味を知っているようで、平然とした表情でヘイデンに聞いた。


「あぁ、そうなんだ。その事件のせいで島民のほとんどがゾンビになってしまったんだ。」

「え!?し…島の方全員…?」


日向は『パンデミック』がどういう意味かはわからなかったが、パンの耳を疑うような話に日向は驚愕した。


先ほどのゾンビがそれほど拡散力のある、強力なウイルスをもつ怪物であったことが怖くなった…




「不幸中の幸いなのは、この島以外でゾンビウイルスが発見されなかったことだな。」


ヘイデンは日向がゾッとするようなことを軽い口調でハハと笑いながら話すと、


痺れを切らしたように軍人がヘイデンを止めた



「おい!不安にさせることを言うな!彼らは今、一般市民だぞ。」

『今』 と付け加えた事に少し疑問を感じた日向だったが、

軍人はどうやら私たちを不安にさせないために黙っていてくれたようだ




「す…すみませんバリーさん…」

とヘイデンが謝った。


軍人のバリーが日向たちの方を見て謝罪した。



「今彼が話したことは軍事機密でもあるから、君たちには話すことができなかったんだ…」


そういうと、またバリーは静かになった。それにつられて、ヘイデンや日向達も黙り4人はもくもくと歩いた






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ご覧いただきまして、ありがとうございました!


バリーとジョニーが名前にすぎていたので、ジョニー→ヘイデンに変更いたしました!わーい!



新しくできた造語集

パンの耳を疑うような話→耳を疑うような話という意味


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