第3話 「「銃で怪物を撃て!!」」

「利き手で銃を持ち、片方の手でその手を覆うように支える」


日向は軍人から銃を受け取り、銃の扱い方を教わっていた。



「次に腕をまっすぐ伸ばし、上部にあるサイト…手前側のくぼみに銃口側のでっぱりを合わせる


その先に照準を合わせ、撃つときになったら人差し指にある引き金を引く」


日向の飲み込みが早いこともあり、構えのフォームはある程度さまになっていた。



「よし、これで銃の扱い方は大丈夫だろう。銃を撃ったら確実にこっちに向かってくるぞ」

と軍人は真剣な目で日向を見た。


日向は軍人の目を見てうなずいた


_______________________________________________




日向は家の影から出て、数歩先にある木との間に立った。

相変わらずうだるような熱さが日向の体温をあげ、汗が伝ってゆくのを感じる。


右手に持った銃は太陽の光に当たり、銃の側面にあるいかりの刻印がきらりとひかる。なんだか生き生きしているように見えた。


[ https://kakuyomu.jp/users/konomi33/news/16817330647972034934 ]



現在の怪物との距離はざっと50メートルほどであろうか。こちらにはまだ気づいていないようだが、先ほどの発砲音でこちらの方に歩いてきている。


50メートルの距離があっても、あの怪物を視界に入れるだけで胸元がざわつき、日向の心があの怪物を受け入れることを拒んだ。そして、同時に、銃を撃って怪物を倒すという試練が日向の鼓動を早め、少し吐き気を催す。


すると、サァァ…と音がし、日向の髪をふわふわと穏やかにゆらした。この島特有の爽やかな海風が髪の隙間を通るたびに、日向の心の縄は解かれていくような気がして、日向は深呼吸をした。


「きっと…大丈夫。」


そんな言葉が心に浮かんだとき、日向の目は怪物だけをただ見つめていた。



真っ直ぐに腕を伸ばして、目の前に銃を持ってくると、その時、絶対にうまくいくような気がした。



日向の体は青く、静かな熱を帯びていた



—— パァーンッッッ



大きな音をたて、銃の上部が素早くスライドした。

想像以上の大音量に加え、強い銃の反動により、日向は驚いて体を斜めに仰け反らせた。

この銃がおもちゃじゃなく、であるという事を思い知らされた


日向の撃った弾は、怪物の斜め上をかすめて行った。



「アァアァァァァ!」


怪物がこちらに気づき、唸り声をあげ足を引きずりながら向かってきている!


「来てるぞ!気を抜くな!」

家の影から出てきていた軍人が日向に叫ぶ


今度は反動に耐えられるよう、より強くしっかりと銃をにぎり、引き金を引いた。



「「パァン」」



今度は怪物の右肩に当たった!が、怪物が止まる気配はない。

体に当たれば、きっと動きが鈍くなるだろうと思っていたが、この様子を見る限り怪物に痛覚はないようだ。

確実に頭に当てないと殺さないと、あの怪物は止まらない…!日向は焦った



「もう少し銃口を上に向けろ!」軍人が日向に向かって叫ぶ。




「「パァン」」



軍人に言われたことを守りながら撃ったが、惜しくも怪物のこめかみを掠った。

確実に狙いは定まってきているのだが、緊張や銃の反動による手の震えでなかなか怪物の頭に当たらない



ダメなんじゃないか…?自分にはできないのではないか…

ふとそんな不安が込み上げてきた。自分の誤った選択が、より軍人の命を危険にさらし、自分も危ない目にあうんじゃないかと自分の事を責め、逃げ出したくなった。

日向は無意識のうちに呼吸が荒くなっていた


すると、突然バリーが叫んだ



「「あと2発だ!その銃にはあと2発だけの弾が入っているッッ!!」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る