第67話・イベント進行:ボス戦

 神との戦いだが、トッププレイヤー達に僅かだが分があった。


 賢神、技術神、鍛冶神、魔神、春、夏、秋、冬の神のサポート魔法が使われ、ジークは剣撃を放つ。


「ッ!?これならいける!」


【くそぉぉぉぉぉ、神でもないものが俺のオリハルコンを使うなんてぇぇぇぇ】


「だから違うって言っているじゃろ」


 影が舞い上がり、取り巻きとプレイヤー、プレイヤーと戦神とフィールドを分けた。これで戦いやすくなる。


【月女神ィィィィィ、貴様、俺のことを無視してぇぇぇぇ】


「貴様と婚約するのなら、同性に走った方がマシだたわけ」


 そんなやり取りの中、ワルキューレは後ろに下がり、攻撃に参加せず、ただジーク達天秤とヒビキ達討伐隊に任せる。


 廃人連合とも言える者達も混ざり、彼らの何人かはトップクラスのダメージを叩き出すがすぐに引く。


 アッシュの作ったのは性能第一の武器に、減るHPやMPをサポートする防具だ。それでも管理がかなり難しく、少しミスるとすぐに落ちる。


 だがそれを巧みに使う者達しか、それを受け取っていない。


「オッラァァァァァァ!!」


【ぐふっ】


 鳩尾に両手斧を叩きつけるヒビキ、すぐに引いた後、ジーク達天秤が前で戦う。


【カァァァァァァ】


 ブレス攻撃もタイミングを見て避けて、対処しながら戦う。トッププレイヤーに恥じない動きで、少しずつ追い詰める。


「少しずつじゃだめだ!」


 ジークはそう叫び、かなり厳しく能力を使う。


「血魔法エンチャント起動、狂気解放、魔剣抜刀、聖剣の覇気使用!」


 攻撃ダメージ量を一気に増やして攻撃する。HPとMPがごっそり減るが、ルーンが回復魔法を使い、MP回復に薬を飲む。


「前に出過ぎです隊長!」


「このバトルはたぶん時間をかけると危ない!町の方にも取り巻きが出てる声があったんだ。下手をすればNPCに被害者が出るぞ」


「ちっ」


 ヒビキは舌打ちをして一気に猛攻をかける。だがそれでもまだ体力がある。


【贄贄贄贄贄贄贄ーーーーッ!すべてが俺の贄になれ!】


 また空に向かって泥を放った。町の方に降り注ぐのが見える。


「まずい」


 アッシュは全ての従魔を使い、サポートと取り巻き撃破をしていた。


 シンク、タロウ、輝夜、ナイト、マシロ、セツナ、クロナ、マフィン。ヒカリはアイテムを投げて使いながらサポートしている。


 そんなときに、タロウ、ナイト、セツナが進化の兆しを見せた。


「!?これは、いましかないか、頼む!」


 その瞬間、戦局が変わる。


 ◇◆◇◆◇


【なにッ!?】


 突然それは現れた。黒い騎士。鎧だけの甲冑でありながら、片腕で振るう剣は全てを薙ぎ払い、鉄球を振り回して薙ぎ払う。


 ナイトは進化して黒き神騎士へと進化した。それに伴い、覚醒時間と言うのを覚え、それを使用。一時的にユニークモンスターボスへとなり、エネミーへと斬りかかる。


 クリスタルの雨が降り注ぐ。それはタロウ、進化してブリリアントクリスタルスライムとして宙に浮き、水晶の弾丸を連打する。


 雪が吹雪、吹き荒れる氷は敵を凍結する。精霊白銀狼へと進化したセツナが猛威を振るう。


【バカな!?ユニークがなんでこんなところに!】


「ははっ、これはだいぶ楽になった!」


「これだけではないぞ!」


 そう言って、雨が降り始める。プレイヤー達には無害だが、ヘドロに触れると白い煙を立ててダメージを与えている。


【ッ!?封印の水だと!捨てられたんじゃねえのか!?】


「それを海から拾って来たんじゃたわけ!」


 海の水を纏う海神が現れ、睨みつける戦神。


 ジークがその一瞬の隙を突き、部位破壊を発動。片腕を破壊、切り落とした。


【ギャアァァァァァァァァ!? 痛いいぃぃぃ痛いぞぉぉぉぉぉ、貴様アァァァ】


「なら片腕は私がもらおう」


 その瞬間、モードレッドが全ての攻撃力を上げて、片腕を切り落とした。


 悲鳴を上げる。だがなかなかしぶとい。


「これであといくつある!?」


「まだ三本ゲージがあるぞ!」


「なんかギミックあるな。解かないとダメージがこれ以上はいらないぞ」


 一撃一撃が重くなる一方で、ダメージ量も考えても減りが少ない。ギミックがあると考え、アッシュは辺りを見渡した。


「こいつは」


 それを見つけたとき、気づかれないように降りていき、ヒカリを呼んですぐに意図を伝えた。


 ◇◆◇◆◇


 歌が流れる。戦場には似合わない、陽気な歌が流れ出す。


【なんだ!?】


 キンコンカッコンと鉄を叩く音が鳴り響く。それは湖の外、何かを鍛えている音である。


「アッシュ?」


 アッシュは一人、何か剣を整えている。


 ヒカリは傍で木製の蓋を直して、木箱を直している。それは封印の箱と剣。いま力を使い果たして、力尽きようとしていた武器だ。


【お前か!人間の分際でオリハルコンを、神の領域に入るのは!?】


 ヘイトがアッシュに向き、すぐに陣形を整える。アッシュのしていることは、彼にとってよろしくないのはすぐに察した。


 アッシュは切羽詰まった状況だが、相も変わらず武器を打つ。大丈夫、ジークが傍で、ヒビキが傍で戦っている。


 なら自分は彼らを助ける武器を打つ。


 その思いをくみ取り、剣が光り輝き始め、光が集まっていく。


 輝きは綺麗な光となり、美しき湖の剣が蘇る。


【ぐっ、まずい!】


 それに怯んで、突っ込んでくる。だがアッシュは気にせず、力の限りジークへとぶん投げた。


「ジーク!」


「アッシュ!」


 剣がくるくる回転して、戦神を飛び越えた。


 ジークが駆け出す瞬間、


「お任せあれですぞ!」


 メガネがそれを奪い取った。


「ふざけんなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 ヒビキが叫び、なにか決め台詞を言おうとした瞬間、メガネは尻尾に貫かれ、ポリゴンへと変わる。剣はそのまま壊そうと尻尾で叩きつける。


「邪魔をする!」


 シンクが剣を担ぎ上げ、尻尾の一撃を避けた。


「輝夜!」


 輝夜へと投げて、


「エンチャント!」


 輝夜は世界樹の枝で魔法効果を上げてからクロナへと上げる。


「影魔法おk」


 影魔法で偽物を作ってから、それに向かってぶん投げた。


【ひぃ!】


 それにおびえ、ヘドロで全てを防ごうと盾にした。


 偽物は粉々になり、本物は………


「こんなん投げられへんって」


 クロナはそう言って、傍でジークがそれを構えた。


「………覚悟は良いか、戦神!!」


【来るな、来るな来るな来るなあぁぁぁぁぁぁぁ】


 猛威のようにヘドロの波が放たれるが、ジークは駆け抜ける。


 剣を握り締め、全スキルを使用。ただ構えて走るだけ。


「貫け、王剣エクスカリバー!!」


 それは頭部を貫き、体に突き刺さった。


【ギャアァァァァァァァァァァァァァ――ッ!?】


 その時、ヒカリにより修復された箱が輝き、戦神は箱の中に閉じ込められた。


 剣を引き抜き、再度構えるが、薔薇姫達に止められた。


 エネミーのゲージは砕け散り、悲鳴と共に取り巻きも消えて、戦闘は終わりを告げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る