第62話・記憶
戦闘だが恐るるに足らず。まともに戦えた。
モードレッドは強く、大体の魔物はスパスパ切り捨てて楽しんでいる。
ガへリスも活躍しながらガレスを守っており、巣である海の傍にある洞窟を探索していた。
「ん」
その時にアッシュは海の水を纏う男が、んーと困った顔でこちらを見ている。
「どうしたんですか?」
ガへリスがこちらに話しかけるので、老人のことを聞くが、ガへリス達には見えていないようだ。
「おおっ、お主は儂が見えるのか?」
話しかけられたのではいと答える。やれやれと老人は話しかけてきた。
「何者かは知らないが、こいつを代わりに持ってくれないか? 守るので精一杯で維持することはできないんだ」
そう言って光る玉を取り出して、アッシュへと渡す。とりあえず受け取ると『???の記憶』と言うアイテムが手に入る。
誰かの記憶が結晶化した物。取り戻すには本人が何者か思い出さなければいけないと出ている。
「うおっ」
「ッ!?」
その時、まるで急に老人が現れたような反応をするモードレッド達。落ち着きなさいと手で制止する。
「儂は海神ポセイドン。海の神じゃ、記憶の欠片なんてものがあるから拾ってみたが、そいつはここに縛りつくように仕掛けられてての。おかげで動けなくなっていたんじゃ」
「えっ、じゃ俺もここから出られない?」
「安心しろ、数分あれば結界を壊してやるとも」
そう言って、しばらく待つように言われた。海の水を自在に操り、移動する様子は上位存在であり、モードレッド達もしばらく傍にいてくれた。
魔物がよってくる使用なのか、時間が来るまで持っているアッシュを狙う。だがアッシュには心強い味方が大勢いた。
こうして海神が問題ないぞと言いに来るまでモンスターを倒して、洞窟の外に出ることができた。
◇◆◇◆◇
洞窟の外で騎士団の人達とで話し合いが起きる中、アッシュは海神と話し合いをしていた。
「これは誰の記憶でしょうか?」
「知らん。下手をすれば100年くらい経っているから死んでいる恐れもあるくらい何者かの記憶じゃ。だがこの反応を見る限り、まだ生きている可能性はあるのう」
「そうなんですか」
「ところで、ここは聖国で間違いないか?」
「ええ、この辺りは夏の神様の聖域のようですね」
それを聞いて海神は苦虫を噛むような顔をした。
「………違うぞ」
「えっ?」
「誰の聖域かは知らないが、あのバカの聖域ではないのは知っている。おかげで迷いに迷った」
それを聞き、騎士団の人が大いに驚いている。聞けば夏の神は色々しているらしい。ナンパ、酒盛り、サーフィン、魔物退治。
最後以外、少し羽目を外していて困っているくらいだ。
「彼奴魔物退治はしっかりするのか。戦神が罰を受けてから、戦えるのは儂か魔神か、あとはまあ、神の座から降りた月女神だけじゃからな」
神で戦いが得意なのはそれくらいで、残りは後衛、魔法でなんとかするくらい。
「変なことはしていないか?」
「はっ、ナンパは未婚の女性で酒を飲める年齢以外、その時までお預けと言っていますよ」
「飲み過ぎたら城の者に看病させているので、淫らなことは決してありません」
「バカの癖にそういうところは真面目じゃな」
間違いなく夏の神だと頷き、そしてここは夏の神の聖域ではないとはっきり覚えている。
「もともと創造神が聖域を作る際、誰がどの辺を受け取るか話し合って決めたからのう。自分とこ以外、近隣の聖域以外知らないのじゃよ」
海は大地の傍にある。傍にある聖域はたくさんあって、どの辺がどの神の聖域か、だいたいのところは記憶していた。
「途中までここまで来たら、技術神が夏の神の聖域にだって言ってきて困惑したが、彼奴まさか、他の神の聖域を自分の物と言ってるんじゃあるまいな?」
バカだからやりそうじゃと頭を抱えた。
「ですが、遊びに来ている神はそんなこと言っていません」
「下位の神の領域か、領土が多く雑な獣神の聖域、まさかとは思うが創造神の聖域の可能性がある」
「創造神様の聖域もあるんですか」
「まず有名な奴と複数だけな。旅人なら一度来たことがあるはずじゃ、そこでこの世界の身体を作られたはずだからのう」
つまり、キャラクターを作った場所か。モードレッド様達が関心する中、海神は仕方ないと呟き、海の方を見る。
「記憶の欠片を探してくる。記憶を消して、その欠片をそのようにできるのは神だけで、そんなバカなことをしそうな神がこの場所でわが物顔じゃ。いまは証拠を押さえ、逃げられなくしてからにしよう。休むのはその後じゃ」
「なら、俺達旅人も探してみます」
「我々もそうするか」
「頼む。あとできれば他の神にも伝えてみてくれ。休暇を取り上げるようであれだが、こればかり夏の神が怪しい」
こうしてこのクエストは終了して、報酬を受け取った後、急いで知り合いなどに連絡。それっぽいアイテム集めをし出した。
しかしこれは誰の記憶だろうか?
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