第21話・イベント戦闘は大混戦

 近くにある食べ物や飲み物を好き勝手に食べる鬼達。その間も戦闘が続く。


「オッリャアァァァァァァァァァァ」


「甘いッ!」


 両手斧を振るうヒビキの一撃を片腕で防ぎ、長い髪が太鼓を叩きまくる。一定以上叩かれた太鼓から雷が飛び、すぐに移動する。


 突撃したプレイヤーは金棒で吹き飛ばされ、HPが半分削れた。


「チッ」


「復活したばかりでなにげに力が落ちておるな」


「いっや~これで落ちてると言っても無理ゲーっすよ」


 俺はそう言いながら聖なる杯をカバーしながら弓矢で放つ。


「うおっ!?」


 それをオーバーに避ける。初見でバレたか。


「神聖の貴金属で作った矢だと!?」


「それは痛いな。いまのお前ならダメージ不可避だな」


 薔薇姫は意地悪っぽく笑い俺は取っておき、神聖の矢と言う金属の矢を構え直す。


「チッ、ならお前を先に潰すッ!」


 突撃してくる酒呑童子だが、ナイトが前に出てそれを防ぐ。


「ぐっ」


「ゴウゴウゴウ!」


 影の領地で自分を癒す領域を作り、騎士の歌で攻撃力を上げ、闘気で純粋なステータスを強化、フィジカルブーストで戦闘力を上げる。


「それでやっと受け止められるか」


「やるなこの影の兵士ッ!」


「そいつは影の騎士、常闇の巡礼者じゃよ。人に下り能力が下がったが、影の兵士と間違えるのは早いな」


「なるほど面白いッ!」


 ナイトに集中すると、死角から水晶弾が飛び、頭突きで破壊する。効果が減っているがダメージは入っているな。


「スライムも希少種か」


「それだけではないぞ」


「浄化」


「パワーショットッ!!」


 足場に聖域が組まれ、力が一瞬落ちたところに放たれる聖なる矢。それを受けて後ろに吹き飛び、面白そうに笑みを浮かべ、金棒を振るう。


「俺達もやるぞ!」


「この中じゃ、お前と影の騎士が面倒かッ!?」


 ジークフリードの攻撃にナイトの攻撃。だがナイトはジークフリードのカバーに回り、他の仲間もジークフリードをカバーする。


「鬼どもッ、ここで気合いを入れろッ!。全て食うぞ」


 他のプレイヤーが小鬼をけん制している中、弓矢で援護射撃する。神聖の矢はまだあるぞ。


 そう考えていると、聖なる杯に近づく影が。


「ゴウ!」


 ナイトが間に入り、悲鳴が上がる。


「待ってストップ、仲間ですぞ」


 そう言うのはあのメガネの男と、吸血鬼イベなどできなくなったソロプレイヤーなどの集まり。


「……なにしに近づいた」


「私が検証の為に聖なる杯を引き取ります。君は安心」


「吹き飛ばせッ!」


 ヒビキの号令でナイトが鉄球パンチ。吹き飛ばされたのを機に、プレイヤーが聖杯を奪いに来る。


「バカッ、守るんであって、奪い取るんじゃねえよッ!」


「うるせえ、活躍すればいいもんもらえるかもしれないだろう!?」


 そう言って奪いに来るプレイヤーは斧で殴り、狐火で薙ぎ払う。


「だーールーンそっちのフォロー頼む!」


「分かりました」


「おっと、一人減った♪」


 酒呑童子の猛攻が高いが、騎士の歌やバフ料理が底上げしてくれている。


「こんなバカなことで失敗してたまるかッ!」


 ジークはそう叫び一気に斬りかかる。


「くっ、なかなかやるな」


「そりゃどうもッ!」


 小鬼を倒して余裕を持った人は、バカなプレイヤーをぶっ叩く。


「妨害するなバカッ!」


「力を合わせろよ!」


「るっせえるっせえ、指図すんな!」


 その中で赤鬼が流れ込んで来る。数が増え、少しやばいかと謳いながら矢を構えると………


「邪魔するなッ!」


「マールさん!?」


 マールが農具を持って赤鬼を吹き飛ばした。


「別に村人だからって力がねえってわけじゃない。ここは開拓村だ、力が弱い奴は一人もいねえんだよッ!」


 狩人や牛飼いの青年も手伝う中、少し持ち直した。問題は害悪プレイヤーか。


「さっさとそれを渡すのですッ!」


 メガネの人が攻撃をかいくぐりやってくる。レベル高いなくそ。だが矢を放たず、槍のように手に持ち突くことで虚を突き、ナイトがまた吹き飛ばす。


「よし、騎士の歌で攻撃力を高めるぞ」


「!」


 タロウが水晶弾を放ち、ヒカリが矢でけん制。輝夜が鬼達を神聖魔法で防ぎ、シンクが敵と害悪プレイヤーごと薙ぎ払う。


 ナイトがここで獅子奮迅の活躍をして自分は矢で狙う。


「がっ」


 酒呑童子の肩に神聖の矢が刺さった瞬間、ジークが畳みかける。連続の攻撃が刺さり、酒呑童子が悲鳴が響き渡る。


「それまでだ」


 影が動き、辺りの赤鬼を吹き飛ばし、酒呑童子をぐるぐる巻きに捕まえた。


「さすがにそこまで力が落ちれば逃れられまい」


「ちっ」


「これにて一件落着だ。お前達もなにしている、仲間同士で争うなバカ者ッ」


 そう言って害悪プレイヤー達を縛り上げて、戦闘が終わる。


 一気に戦闘スキルなどにレベルが入り、レベルも上がった。


『称号:軍勢従魔使いを習得しました! 称号:軍歌を謳う者を習得しました!』


 称号も手に入り、他にも仲間達に称号が手に入る。


【称号:酒呑童子を退けた者を習得しました!】


 こうしてレアドロップも手に入り、戦闘が終わるとぷはーという声が響く。


「ん?」


 聖なる杯を使い、ジュースを飲み、野菜料理をパクパクおいしそうに食べる少女。ピンク色の髪に綺麗な水色ゴスロリを着こむ。


 どうやら彼女は………


「遅い降臨だな。春の女神『ウェール』」


 イベントは終わりへと近づいて行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る