第22話・イベント結果

 まずプレイヤーが考えたのはジュースでよかったなだった。


 春の女神は少し幼く、中学生くらいだろう。薔薇姫は微笑みながら浮かび上がり、その頭を撫でる。


「ちびっ子よのう。我も長く生きてるが小さいし、今年はちびっ子ばかりか?」


「うるさいです、私のお祭りですので食べ歩きはしていいのです。200年ほど無視されたのは許したくありませんが」


「許してやれ、人は過ちを繰り返す種族だ。長く生きられないから、エルフやドワーフと違って昔の事はすぐに忘れる。こんなものよ」


「良くありません。大地の賛歌を忘れるし、長い目で見てますが人は神にすがるのに、神の恩恵をすぐに忘れて」


「まあまあ、お主が好きなマッシュマックがあるぞ」


「えっ!?本当ですか!?」


 そこですぐに品質の良いのを出すと、わーい♪と喜ぶ女神ウェール。


「マッシュマックは品質の良い物は丸かじりがおいしいのです♪」


 そう言って齧っている。メガネはなんですかあれはと言うが、初期野菜だよ。


「あなたですか、最近マッシュマックを称え、多くのマッシュマックを育てている者は。良いでしょう、特別にあなたには称号を与えます」


『称号:マッシュマック伝道者を手に入れました!』


「おおっ、ありがとうございます」


「加工品でも良いので、マッシュマックを流行らせてください。これには全ての野菜の始祖の力が宿っていますから」


 なにそれ聞いたことない。そう思いながら、マッシュマックには無限の可能性があるのですと言って、女神は満足する。


「この様子なら来年も楽しみですね。さてと、酒呑童子を離してください」


「いいのか?」


「私は満足しましたし、彼女も祭りの品を食べる権利はありますので」


 それに今のあなたなら彼女を倒せるでしょうと微笑む。それにニコッと微笑む薔薇姫。酒呑童子は解放されて、ちえっと残念がる。


「全部食べるつもりだったのに」


「毎年しますけど諦めてください。神の領域でそんなことさせるわけにいきません」


 そんな会話をしてから、鬼達は大人しく祭りに参加。お行儀良く料理を食べて、飲んだり騒いでいる。


 聖なる杯をずっと持っている女神。こうして祭りの夜が進み、女神が言う。


「旅人よ、創造神より加護を受けた者達よ。今宵は貴方達のおかげで楽しいお祭りが開けました。ここでは無いもう一つの世界と繋がる事を祈りながら、また会う事を祈ってます。どうぞこれは祝福です」


【称号:春の女神の使徒を習得しました! SP5手に入れました!】


「アッシュ、歌唱魔法は他にも多くある。我が城に来ると良い、歌唱魔法を一つ教えよう」


「それじゃあな人間。また会ったら遊ぼうぜ」


 そして村人の人達との交流をへて、全員が転送される。


 ◇◆◇◆◇


 気がつくと従魔達はおらず、白い部屋の中、複数の人達がモニターを見る。どうやらサーバー分けされたプレイヤーを集めて、イベントの様子を発表するらしい。


「皆様こんにちは私の名前はハッピーラビー。このゲームのマスコットキャラクターです。創造神様のおかげで喋る個体です。今回はゲーム進行をさせていただきます」


 モニターに映る服を着た兎に目が行き、今回のイベントストーリー進行度、村の貢献度ランキングの発表が控えているらしい。


「ですがここで一つ問題がございます。運営の人々が見ていましたが、皆さんの中に他のプレイヤーを妨害する方々が大勢いました。正直、ゲームスタイルは人それぞれですが目に余ります。申し訳ないのですが、そう言った方々は貢献値のポイントにマイナスを入れさせていただきます」


 ランキングには影響されません。そう静かに告げる。


「ふん。当然なのだよ」


 メガネの人がそう言うが、あんたらのことだと思うよ。


「ゲームは皆さん楽しくしていただくのが我々の望みです。無理な情報開示や脅迫まがいの行為があった場合、迷わずGМコールをしてくださいませ」


 気のせいか目が合った気がする。周りの人を一通り見た様子だが、該当する人は少し注目した感じがする。


「ストーリーに関してですが、これは第一位の結果を反映されますので、ノドカ村は壊滅していません。それによる変化などは後日、体験してください。それではストーリー進行値が高い順番はこのようになっています。次のモニターはイベント戦闘クリア時の時のものです」


 そう言われて、目の前にウインドウが開く。ストーリーの進行度は間違いなく俺達のサーバーが一位であった。少し二位との差が大きい。


 だが戦闘に関しては三位。それにヒビキを初め、何人かが考察班や聖杯を奪おうとした人達を睨む。同じようにこちらを睨むメガネさん、お前のことだからな。


「それではそれらのポイントを持って、順位の発表です。第三位は」


 俺達が必死に祈る中、第三位は違うサーバーの人。拍手を送り、次に二位。これも違う人。


 拍手を送り、第一位に祈りを捧げる。


「第一位は、84番サーバーです!!」


 一気に歓声が響き、ポイントを確認する。俺は324100ポイントもらえた。


 各種確認するとストーリー進行度1位、イベント戦ランキング3位、女神の杯入手、村人好感度一位、マールの恩人、薔薇姫の友人、酒呑童子撃破などポイントが入る。一番ポイントが多いのは春女神の使徒か。


 さらに各種の報酬として転移:ノドカ村フリーパス権。称号:ノドカ村の救世主、薔薇姫の友人、酒呑童子に気に入られた冒険者、女神ウェールの加護、緑聖域の解放者。アイテムで高純度の魔結晶と春の女神のぷち祭壇と言うのが手に入る。


 こうしてイベントが終わり、全員が通常の時間帯へと戻るのであった。

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