第7話・迷いの森
迷いの森は木材を求めないのなら人気の無いフィールド。β版では先は無く、樹海が広がるだけ。
異常状態である麻痺と毒を使うモンスターが多く、輝夜のキュアが無いと進めない場所。そこで気を付けながら進む。
「よいしょっと」
伐採スキルで木を切り、木材を確保しながら色々採取する。
「毒草や麻痺関係のアイテムも確保して、麻痺薬とか作れるぞ」
調合はすでに取っている。帰ったらアイテム作りでスキルレベルを上げようか。
「にしても、迷いそうだなあ」
似たような景色が続き、廃坑山のように階層に分けられている訳では無い。奥なのかどうかすら分からない。
敵も急に強くなったりすることも無い為、奥に入っているのか不明だ。不人気の理由の一つだな。
「バフが尽きた。食事を少し取ろうか」
「わーい」
「コン」
「♪」
バフ料理を少しずつ食べて、攻撃力など強化。いつでも戦闘可能に維持。兵士の歌など歌い、少しでもダメを稼ぐ。
こうして奥へと進んでいると、妙な音と共にボス壁が現れた。
「なに?」
ボス壁はレイド、ネームド、ボスモンスターと戦う際に発生する区切りだな。そこだけ通常のフィールドと変化したりするし、逃げる事ができなくなる。
迷いの森のボス情報は無い。β版にも無かったから、ボスが追加されているよう。
巨大な枯れ木が生えて、手など付いている。木に顔が付いていて、オバケの木が現れ、根っこや蔦がこちらに向いている。
「やべっ、ボスモンスターか!?」
レベル帯も分からないのに戦うのか、まあやるしかない。
「シンクを中心にボスモンスターを倒すぞ。輝夜は距離を気を付けて異常状態を回復。タロウは水晶弾を撃ち続けてくれ」
「コン」
「はーい」
「!」
こうして本格的な戦闘が始まる。木の根が槍のように地面から生えるが、地面をよく見れば避ける事はできる。輝夜達に注意するように指示して躱して、接近して斧で叩くしかない。
シンクの狐火が良く効いている。水晶弾もだ。
水晶弾はMPを消費しない魔法打撃攻撃だ。魔法ダメ扱いなのに、兵士の歌で攻撃力が上がる。
俺は兵士の歌を歌いながら、せっせと斧で攻撃する。種のようなものでマシンガンのように撃つからそれも避ける。大変だ。
内心ヒーッと悲鳴を上げている。歌いながら周りの指示をして斧で叩くって大変なんだよ。
何回かパターンが変わる。レベル的には向こうがやや上で相性で互角くらいか? 火魔法スキル持ちが居れば楽みたいだな。
水晶弾、こいつは便利な攻撃で、魔法攻撃だが相手の魔法防御力が高いと物理攻撃に判定されるらしい。MPも使わない攻撃方法だし、ダメージを稼いでくれるんだ。
後は俺以外状態異常に警戒しなくて済む。なんとか避けられている。輝夜は主に回復魔法を唱えてくれる。
「シンクトドメを刺せッ!!」
業火が放たれ、ボスエネミーであるカーストレントが悲鳴を上げる。
次の瞬間、ポリゴンになり、今回のボス戦は相性もあり、勝利することができた。
【ワールドアナウンス!ワールドアナウンス!】
【迷いの森ボスモンスター【カーストレント】を初の討伐並び単独討伐が達成されました】
『レベルが上がりました スキルレベルが上がりました』
『アッシュ様には精霊の種、10000エン、SP5をプレゼントされます』
「そうだった!?」
単独討伐の事を忘れていた。初の討伐達成並びにカーストレントは初の単独討伐らしい。
草原狼の時に調べたが、レベルアップや個人に贈られる報酬内容は放送されていないらしい。だがいろんな人が迷いの森のボスが倒された事に気づいたはずだ。
「戦闘ドロップを確認したいが、いまはここから逃げるのが先だっ」
こう目立つと面倒事もやってくる。こうして俺は畑へと逃げていく。
マッピングはしっかりしていたおかげで迷わず、すぐに森から出て行き、畑に戻る事ができた。
………
……
…
納屋で落ち着いた後、戦利品の確認をしていた。
カーストレントのドロップアイテムや報酬の確認だ。精霊の種ってなんだろう?
「早速畑に植えてみるか」
精霊の種は呪われた大樹の生まれ変わり、新たな命が大地に芽吹くとなっているから植えて良いはずだ。
称号を農家にして大地の賛歌を謳いながら畑に植える。一面使うのね、少し大きすぎるな。
10000エン手に入ったし、畑の拡大に出向こう。ホーム代に回したいけど、そっちの方が良いだろう。
後はマッシュマック農家に称号を変えて、まんべんなく世話をしておく。
『農業のレベルが上がりました』
「おっ、5になった」
スキルが5になると育樹と水耕、雪下野菜などのスキルが取れる。木を育てるのだから育樹だろうな。
「雑草の中にハーブがある」
いままで雑草とカテゴリーされていた物がミントなどのハーブやアジサイなどの花が混じる。レベルが上がったからか?分けておこう。
レベルや戦闘系スキルとかも上がったし、今回は大収穫だな。
ワールドアナウンスが怖い。今頃迷いの森はプレイヤーで溢れてそう。しばらく調合とか、生産職スキル上げを中心にしよう。
今後の方針を決めて、ログアウトする準備をする。
「精霊の種は何が実るか、楽しみだな」
「たのしみぃ」
「コーン♪」
「♪」
全員が楽しみにしつつ、こうして俺はログアウトするのであった。
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