第2話・卵から現れるのは
畑のあるエリアは都市の外にあり、家庭菜園並みの広さの畑に、簡単な小屋が付いた畑にたどり着く。なるほど狭い。
「それじゃ、まずは種をやろう」
「『マッシュマック』? 初心者用の野菜?」
「ああ、一日あればすぐに出荷できるぞ」
どんな気候にも強く、安く販売されているらしい。育てるチュートリアルをすると種をもらい畑一面を使い切る。
「畑を拡大したかったら農業ギルドで畑を買うと良いよ」
「はい、他にすることはありますか?」
「まずは慣れる事だな。育てられる奴には色々ある。実が生ったらすぐに採取しなきゃいけないものもあれば、少し放置すると別の野菜に生る物もある。品種改良などの道具があれば、一種類の野菜から色々な物に加工できる。加工道具と品種改良セットが必要だから、まずは畑を広げて、加工道具か品種改良セットを買うと良いよ」
「はい、納屋はどういうことができますか?」
「ああ、収穫した野菜などを保存するアイテムボックスの機能があるな。そのまま市内に売買できるし、簡易ホームとして機能するからセーブポイントにできる。ホームオブジェクトも置けるから、色々してみるのも良いだろう」
「種はどうすればいいですか?」
「種は農業ギルドで買うか、手に入れた品物を農業スキルで種に変えるしかないね。品質の良い物を作りたいなら、品質の良い物から種を作ると良いよ」
商人ギルドに登録してるから納屋で市場にを売る機能、そこで売買しても良いし、特定の店や農業ギルドに卸す事も可能とのこと。野菜だけでなく素材アイテムも売れるそうで時間が無い時など使用しよう。
「ありがとうございます」
「ああ、また分からない事があれば農業ギルドに聞くと良いよ」
こうして獣人の先生は去り、俺は簡易ホームとして納屋を確認。いまのお金では畑は買えないだろうと思い、『兵士の草原』と言う最初のフィールドに向かってみる。
「と、その前に、ランダムエッグを置いて行こう」
アイテムの中のランダムエッグを納屋に置く。設置して注意書きを読む。
「宿や簡易ホームなどに置いておくと孵る。なにが出るかお楽しみにか」
大切に撫でながら、俺は孵る事を楽しみに最初のフィールドへと向かう。
「あ、そう言えば空腹ゲージがあるんだった。なにか食べられるようにしておこう」
フィールドから帰る時に食事処に行けるよう、場所などを把握しておいた。
◇◆◇◆◇
草原らしく、スライムや角ウサギと言うモンスター。初心で出て来るモンスターが歩く大草原に出て来た。
まずは色々確認して動くが、何度か戦闘して持っておいた方が良いスキルを考えて習得する。
『スキル』
戦闘スキル 斧術:1
生産スキル 農業:1
補助スキル 従魔術:1 採取:1 伐採:1
このスキルで木の伐採で木材も手に入れる。スキルを取るとポイントが現れて、そこでアイテムを採取したりできる。
「子供ネズミを倒して水晶の欠片をゲットしたな」
アイテムを回収しながら戦闘をしていると、スライムがいる。倒すかと思うが、何か様子がおかしい。
「あっ、スライムだ」
「ほっとけ!!経験値もドロップアイテムもしょぼいんだ!!ファイタードックを倒した方が良いんだよ!!」
他のプレイヤーからそんな事を言われて無視されている。少し可哀想だな。
「おーい、そこのスライム」
「?」
そう呼びかけたらこちらに来た。AIできてるな。
「せっかくだから俺んとこ来るか? 俺テイマーだから」
「!」
嬉しそうに跳びはねて、名前を付けてくださいと出た。
名前は『タロウ』と付けて、そのまま一緒にレベリングする事にする。
「これからよろしくなタロウ」
「♪」
タロウは『なめしの実』と言う素材アイテムと『水晶の欠片』を好み、売ってもそんなに高くないから食わせることにした。
そんな感じで色々倒す。しかし………
「ファイタードックだ!!」
「どけ!!俺達の獲物だ!!」
フィールドは殺伐としている。少し早めに切り上げよう。こうして俺は畑に戻るのであった。
◇◆◇◆◇
畑に戻り、水を撒き納屋で一休みする。アイテムはしょぼく、折れた銅の剣とかは売って120エン手に入った。
戦闘で300エン稼いだが、420エンしか稼げていない。
「んーもう少し稼ぎたいな。冒険者ギルドとかでクエストやるしかないか」
掲示板とか見ると、畑の値段は一面を増やすのに初回は2000エンかかり、次は3500エンいる。
もう少し頑張れば一面増やせるか。そう思いながら、ランダムスキルチケットを取り出す。次はこいつの番だ。
「良いスキルが出ると良いな」
そうして俺がランダムにスキルを取った。手に入れたのは『歌唱』と『鍛冶』と『弓術』。
「うわあ、SP1だけか」
「?」
鍛治はいま持っても銅鉱石とかで銅の武具を作るしかない。鉄の武具も作れるけど、店で売っている物とどっこいどっこい。良質な物なら良いが、まだ見つかっていない。
せっかくだから『細工』も取るか、裁縫や鍛治、木工や石工を取った人がついでに取るおすすめだからね。
そうこう色々し終え、後は明日に備えるかと思っていたら卵が光り出した。
「おっ、孵るか?」
光り輝き、辺りを照らす卵。その中から出て来たのは………
「コン♪」
「おっ、狐様だ」
尻尾に紅い炎を灯す、可愛らしい狐である。よしよしと撫でながら種族など確認する。
「種族が妖怪?そんなのもいるのか……後は狐火と念力。念力は簡単な物の持ち運びができると。狐火が攻撃手段か」
「コン」
「よしよし、お前の名前は『シンク』だ。これからよろしくなシンク」
「♪」
タロウも喜び跳びはねる。従魔術のレベルが上がり、少しずつ前に進んでいる。
「まあゆっくりやろうか、まだ始まったばかりだ。なにがどうなるか分からないんだしな」
「コン」
「♪」
こうして一日目は終わり、俺がしばらく変わり映えしないゲームライフをするのだが、俺がここから色々と変わり出すのはもう少し先の話である。
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