妖精の生産地 野菜と鍛冶の生産者
読書好きのシマリス
第1話・初めの一歩
そのゲーム世界、VR空間で広がるのは、ある種類の野菜であった。
「よおし、今日も『マッシュマック』はうまくできてるな。品種改良したのも品質は高い」
そう言う灰色の髪をしたプレイヤーはニコニコ微笑み、農具を持って畑の様子を見る。
「ちちうえ、加工品を作るの手伝いますのじゃ」
狐の耳と尻尾を持つ和服の少女は微笑みながらそう手を上げる。
「おとーさまおはようございます……まだ眠い」
「眠るのはダメじゃぞ」
天使の少女はそう言いながら目をこすり、その側で水晶のような輝きを持つスライムが跳びはねる。
「パパ、収穫は任せてね♪」
「ゴウ!」
光の分身を生み出し、野菜を採取する白いドレスを着こむ妖精。騎士のような甲冑の存在が鎧を叩き返事する。うんうんと頷きながら、畑を耕しだす。
みんなで一つの歌を歌いながら、野菜までその歌を歌いそうな空間の中、彼はゲームを始めた頃を思い出していた。
(まさかこうなるなんて、あの頃は思わなかったな)
◇◆◇◆◇
俺は高校一年の生粋日本人。いまネットから送られてきたゲームハードを見て感動している。
世界で数多く発売されているVRMMOゲーム、その中で最新作の『
このゲームはβ版応募に日本中の学生が応募したとか言う噂が立つほどであり、第一陣製品版は限定3万人と言うプレミア付き。いま最も熱い話題のVRゲーム。
俺は一人でゲームを楽しむ気である。一応、連絡や遊びに誘われることはあるが、本当に友人か聞かれれば知り会い程度の関係しかない。一緒にゲームしようぜと言う奴はいないんだよね。
ゲーム部があるらしいが、早く帰りたいから帰宅部だ。つまりソロプレイで悠々と過ごそうと思う。
と言う訳で話もそこそこゲームをスタートする。
◇◆◇◆◇
寝っ転がりヘルメットのようなハードを装備してスタートする。五感は電脳の海に沈み、舞台のような物が目の前に広がる。
ライトが舞台を照らすと一人の男がいる。俺のアバターだ。
「うん、リアルの俺よりカッコイイ」
いまは基本データ、スキャニングした俺のデータから作られたものが出て、どう変えるか選択する。性別はいじれないぞ。見た目を女子に似せる人もいるけどな。
背丈を変えすぎると違和感があるらしくいじらず、瞳の色くらい青にして、少し黒髪を灰色にする。少しだけ印象が変わった。
データさえあればVの人の姿でゲームプレイできるらしいが俺には関係ないね。次は動画配信などの設定だ。俺は動画配信なんてしないからしない方に設定。
次にネーム。名前はそうだな……『アッシュ』にしようか。髪の色と合うだろう。
種族は人間。これでバランス良くステータスが振り分けられる。ちなみに他には獣人(猫耳や犬耳)、エルフ、ドワーフ、ハーフリングなどいる。ゲームが進んだり、条件を満たすと別の種族に成れるらしいけど人間を貫くぞ。
「次は職業と副職業か」
ここで手に入る職業は、それに関係するスキルをスキルポイント、SPを消費せず習得できる。称号も手に入る為、やりたいことに合ったものを取る必要がある。
俺がしたいのは生産職、テイマーだ。モンスターを連れて歩きたい。
さてと、ランダムガチャだ。ここからは決められた時間内に設定し終えないとランダムになるから急がないと。
そうこうして20回くらいか、そこで職業ファーマーと副職業テイマーが出た。農業か、別にいいか。
これでアッシュのスタートは農業と従魔術と言うスキルを持ってスキルポイント、SP30でステータスなどを選ぶことになる。
素のステータスは職業を決める時に同時に行われていたがそこそこ高い。ってよく見れば高くない? 合計220オーバーが良好いうのに240くらいあるぞ。
とりあえずこれでスタート。スキルはゲームプレイの時に覚えよう。
それで最終確認とてステータスが出て来る。
◇◆◇◆◇
キャラネーム:アッシュ Lv1 種族:人間 称号『見習い農家』
HP:30 МP:33 従魔0/3
『装備』
武器:『初心者の片手剣(+10)』
防具『皮の鎧(+5)』
右腕:『』
左腕:『』
腰:『絹のズボン(+3)』
足:『皮のブーツ(+5)』
アクセサリー:『』
『』
『』
『スキル』
戦闘スキル
生産スキル 農業:1
補助スキル 従魔術:1
SP:30 所持金:1200エン
◇◆◇◆◇
戦闘スキルが無いから向こうに付いたら武器を手に入れてスキルを獲得しないと。
こうしてゲーム設定が終わり、普通ならここでゲームスタートだが初回特典が送られる。
三つだけ初回用のアイテムを手に入れられることで交換リストが現れた。
俺はファーマーだから農業セットを選ぼう。畑、納屋、種、農具が一部付いてくるお得セットだ。
次にランダムスキルチケット×3。ランダムにスキルを習得できるチケットを手に入れ、次にランダムエッグと言うテイムモンスターが手に入る卵を手に入れた。
こうしてもろもろの準備を終えて俺はゲームを始めるのであった。
◇◆◇◆◇
はじまりの町である湖畔の要塞都市でスタートする。俺以外にも3万人弱は居そう、スタート地点の一つだから広い広間、すぐに移動しないと人込みに飲まれそうなので移動した。
湖畔の要塞都市は四方を壁に囲み、南門は湖の上に作られた要塞都市だ。門の外にも町があり、東門に進むと大陸の中心に進み王都があるらしい。
「まずはチュートリアルかな」
チュートリアルを行いますかと選択肢が出たのでYESを押す。するとナビゲーションされて冒険者ギルド、商人ギルドに案内された。
たぶん次にプレイヤーが多い場所であるギルド受付場にやってきて、ここで冒険者登録をしましょうと出た。
それだけなのに100エンのお金が手に入る。ラッキー。
登録はすぐに終わり、これで初心者冒険者と言う称号が手に入る。手に入っただけで少しだけSTRとVITが上がる。初心者に優しいね。
受付嬢に武器、アイテム購入などのチュートリアルを受けて買い物をする。1000エン使用して銅の片手斧を買う。これが一番使いやすく、攻撃力が高い。
あとは下級回復薬を二個購入して残り100エン。ここからは畑のあるエリアに向かう。
商人ギルドに入ると商人として活動できるためおすすめされて商人ギルドの手続きをした。その後は畑があるので農業ギルドにも登録を勧められた。
納屋付きでどれほどの畑が手に入っているか確認しないと。農業ギルドにも顔を出しておかないとな。
農業ギルドで畑持ちだからか、チュートリアルが発生した。YESを押すと、先生らしい獣人の人が現れて、自前の畑でなにをどうするか教えてくれるらしい。俺はそのまま自分の畑に向かった。
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