8.再会






 「 カーカーカーカー 」



 結局一睡も出来ずに、朝になってしまった。


 

 カナのお○にーを無断で覗いてしまったことへの罪悪感に駆られるも、初めて見る彼女の1面への衝撃に勝ることはなかった。



 彼女の喘ぎ声、匂い、それらが目の奥と脳に焼き付いてしまい、寝ることも出来ないくらい一晩中興奮していたのだ。



 ……って、早く契約しないとまずいよなぁ。



 昨日は事故で契約出来なかったが、契約自体は出来れば今日中にでも済ませたい。


 契約をしないと、彼女のサポートをする権利を得ることが出来ないので、実質職務放棄になってしまうのだ。





 「そろそろカナも起きる頃だし、行くか……」



 時計の針は午07:20を指している。


 玄関をすり抜け彼女の家に入ると、カナの父と母らしき人が食卓で朝食をとっていた。


 だがそこにカナの姿は見えないので、俺は昨日の明かりの部屋へと向かう。



 カナは起きていた。



 制服に着替えているところだったが、あいにくシャツとスカートは履いた後だったので、下着姿を見なくて済んだ。


 安心安心……


 と思ったら、昨日の行為に使ったと思われるカピカピの下着が目の前にあり、不意打ちされた。


 不意打ちやめて……



 彼女がストッキングを履き終わり、一通り準備が終わったことを確認した俺は、いよいよ彼女の心に語りかけることにした。



 契約なくして、キューピッドの姿を見ることは出来ない。故に、契約をお願いするために彼女の心に此方から語りかけるのだ。



 ふぅーーーーーーーーっ。



 15年ぶりのカナとの会話。



 俺は深く深呼吸して、彼女の心と俺の意識を繋いだ。


 


 「……聞こえますか、恋する少女よ。


 ……聞こえるのであれば、私の声に耳を傾けなさい。」



 これが、基本的にキューピッドの最初の語りかけのテンプレと呼ばれるもの。変に下手に出ずに、神様オーラを出すことで対象の興味を引くことがポイントだ。



 「……何この声。」



 「……私の名前はリュー。そなたを救いに来た神です。 少女よ、そなたは恋をしていますね?」



 「……してない。あと、なんかその喋り方キモい。普通に喋れないの?」



 「……え、いや、喋れますけど……」



 「……神だか何だか知らないけど、普通に喋れるならそっちでお願い。で、何? 神様が私になんか用? 」



 「……あ、えーと、恋をしているんじゃ……?」



 「……だからしてないって言ってるじゃん。用件がそれだけならもういい?」



 「いやちょっと待って……どゆこと…?」





 こうして、15年ぶりに元カノとの再会は果たされた。


   

        

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