第11話 トラウマ

 翌日。俺たちは再び上毛高等学校の校門前にあると予感へと出向いていた。


 昨日、彼女は言った。今度こそは宇多野を止めると。そして、世界をもとに戻すのだと。藤乃にとって、石狩に関する件は、少なからずトラウマになっていることは間違いない。だからこそ、今後の発現者の対応のためにも、彼女のそれを解消する必要があるのだ。


 そんなことを考えていると。俺の正面に佇んでいる藤乃が口を開く。


「いこう、山折」


 彼女は、俺へ期待の眼差しを向けながら、そのように問いかける。


 その期待が何に対してのものなのかは分からない。ただ、少なくともそれがプラスの感情のものだということは、まず間違いないだろう。


 彼女の問いに、俺はゆっくりと首肯する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る