第9話 心の叫び

 放課後の校門。生活を終えた高校生らは、ある程普度の疲れと、帰宅に対する幸福感を抱きながら、帰路に着き始める。俺と藤乃は、後門の前に建てられた図書館に設置された簡素な駐輪場の物陰に隠れ、その様子を眺める。


 目的は、宇多野の捜索。藤乃の事前調査によると、宇多野はどこの部活にも所属していないらしい。勿論、部活に入っていない人間にも、委員会の仕事や、生徒会活動などやれそうなことはある。ただ彼女の所属している図書委員会はこの時期に仕事はなく、また生徒会にも所属していない。となると、そんな非凡高校生が放課後にできることは数少ない。ゆえに、選択肢は帰宅くらいしかないだろう。案の定、校門から宇多野は姿を現す。

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