第6話 望み
初めて小鳥遊と出会った駅から徒歩五分。交通量の多い道路に囲まれ、大型商業施設が建てられている。総合スーパーを起点として、そこに服屋やゲームセンターなどが増設されている。とりわけ豪華な空間というわけではないが、それでも近隣の中学校や高校に通う学生で溢れている。
「小鳥遊さん!」
四階への階段を駆け上がり、ガラスでできた自動ドアを出た藤乃が、大声で少女の名を叫ぶ。
そこの屋上。駐車場になっているものの、自動車での来店客が少ないためか、人気がほとんどない。真っ黒な空に浮かぶ満点の星空が、何ものにも遮られることなく、目に入ってくる。
幸か不幸か、俺の推理は当たっていた。小鳥遊は屋上周辺に設置されたフェンスの先。涼しさを乗せた風に髪を靡かせ、夜景を眺め佇んでいる。こんな時間に、何も持たずにこんな場所にくる理由など一つしかない。
「なんだ。結局来たのは君たちか」
小鳥遊は俺たちのことを確認すると、残念そうに一言漏らす。その彼女を声を聞き終え、俺の左側に佇む藤乃が声をかける。
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