第4話 行き過ぎた行為

僕らは暗闇の中、ドアを捻り家に入った。

目に飛び込んできたのはボロボロになった少年とその子供に何も言わない母親、そして少年を罵倒する父親の姿だった。

亜熊は父親に掴み掛かり、投げ飛ばした。

その姿はまるで子供を守る熊のようだった。

亜熊は僕らが持つ悪意の心を善にする銃で何度もその子供の父親を撃った。

七瀬が止めようとしたが、亜熊は頭に血が上り、銃を離すことは無かった。

気づけば、亜熊のその姿に子供は怯えていた。

銃の乱射は悪い心を良い心にしてはくれるが、打ちすぎると死ぬのだ。

だから、子供前で父親は死んだ。

子供は父親に殴られても父親が大好きだった。

だから、息をしていない父を見て、泣いた。

そして、僕らに言った。

『父さんを返せ』

亜熊はやっとやりすぎたと反省したが、もう遅かった。

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