散歩の七百四十九話 代官邸に到着しました

 その後も順調に進んで行き、予定通り夕方前に帝国直轄領に到着しました。

 中々の大きさの町で、街道には多くの人が歩いていた。

 そんな中をゆっくりと馬車は進んでいき、代官邸に無事に到着しました。

 玄関に着いたところで、代官が僕たちを出迎えてくれました。


「皆さま、遠いところからよくいらっしゃいました。さぞかしお疲れでしょう、応接室にご案内いたします」

「「「はーい!」」」


 今日は、狐獣人の渋い執事風の人でした。

 礼儀作法もしっかりとしていて、一目見て凄いって分かります。

 しかも、シロたちが元気よく返事をしてもニコリとしながら対応しました。

 これには、随行員の面々もとても驚いていました。

 更にびっくりすることが続きます。


「皆さま、お茶をお入れしました。どうぞこちらに」

「わあ、美味しい……」

「うむ、これは素晴らしい」


 羊獣人の年配の侍従が淹れてくれた紅茶は、スーだけでなくモルガンさんも絶賛する味わいだった。

 なんというか、紅茶の旨味が凝縮しているというか、とにかく美味しかった。

 すると、マグカフさんが凄いことを教えてくれた。


「流石は、先代様にお迎えしていたお二人なだけある。本当に素晴らしいです」

「お褒め頂き光栄でございます」


 なんとこのお二人は、帝国の先代皇帝陛下専属の使用人だったらしい。

 先代皇帝陛下が亡くなって暇を貰おうとしたら、この重要な街道を持つ直轄領を任されたという。

 だからこそ、この紅茶を淹れるだけの技術があるのでしょう。


「実務は息子夫婦が執り行っております。私どもも年を取りましたので、こうして来客の応対をメインにしております」


 謙遜しながらいうけど、さり気なくお茶をお代わりしたりシロたちにお菓子をあげたりと、気配りが半端ないです。

 特にジョディーさんが感動していました。

 もちろん泊まる部屋も過度な装飾はなく、とても品の良いものだった。

 夕食も素晴らしくて、これがスーパー使用人なのかと感心していた。

 そして、アヤとアイが色々と質問していたけど、それにも丁寧に答えていた。


「「「カッコいい!」」」


 シロたちも絶賛する仕事ぶりだったし、もちろん僕たちも大満足でした。

 そして、明日のことを話す前に代官より懸念事項が伝えられました。


「昨日大雨が降った為に、この先の街道の一部の道路状況が良くありません。通行は可能ですが、ご注意下さいませ」

「貴重な情報を教えて頂きありがとうございます。その際には、土魔法を使える冒険者に道路復旧をいたします」


 マグカフさんがそういうと、アオがサッと冒険者カードを取り出した。

 僕たち王国のものが道路復旧をすると問題になるけど、スライムが直したことにすれば問題はありません。

 そして、明日も安全を考えて帝国直轄領の町に泊まるそうです。

 こうして、二日目の旅も無事に終了しました。

 街道の状態がどうなっているのか、気をつけないと駄目ですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る