散歩の七百五十話 路面が崩壊した現場
翌朝、僕たちは朝早く起きて旅の準備を整えます。
特に街道の修繕を行うかもしれないアオは、入念にストレッチまでしていました。
「お兄ちゃん、髪の毛とかしてー」
「フランも!」
「ホルンも」
「ヴィヴィもやって、パパ」
シロたちの朝の準備を整えたら、朝食を食べていよいよ出発です。
みんなで代官に挨拶をします。
「「「いってきまーす!」」」
「皆さま、道中お気をつけて下さいませ」
「お帰りに会えることを楽しみにしております」
代官夫婦の丁寧なお見送りを受けながら、僕たちを乗せた馬車は出発しました。
帝国から王国への帰り道にまた寄る予定なので、土産話を聞かせることができそうです。
そして、午前中は何事もなく進んだのだけど、午後になって問題が起きました。
「わあ、ガッツリと崖崩れが起きているよ!」
「うーん、これでは人は通れても馬車の通過は無理だな……」
川沿いの道の一部が崩落していて、更に今よりも崩落しそうな感じです。
幅五十メートル近く崩れていて、両側で復旧作業が行われていました。
しかし、これでは通行に時間がかかります。
僕たちも馬車から降りて、街道の様子を見ていました。
そんな僕たちに、一人の身なりの良い人が近づいてきました。
「おお、マグカフではないか。どうしてここに?」
「バッハ様、お久しぶりです。王国のスーザン王女様を皇都までご案内している最中です」
「おお、そうであったな。こんな状況になって申し訳ない」
たぬき獣人の恰幅の良い男性は、この一帯を管轄するバッハという人らしい。
マグカフさんと知り合いらしく、僕たちのことも知っていました。
そして、スーの前に膝をつきました。
「スーザン王女殿下、このような醜態を晒し大変申し訳ございません」
「バッハ様、天災では誰も責任を取りようがありません。とにかく、急いで復旧作業を行いましょう」
「はっ」
話を聞くと、上流で更に大雨が降ったので一気に川肌が崩れてしまったという。
昨夜代官から聞いた時よりも、状況が一気に悪化しているらしい。
そして、危ないので僕たちが手助けするのはやっぱり禁止されてしまった。
「では、私が雇った冒険者に作業をさせましょう」
「冒険者って、いったい誰…はあ!? もう、街道の半分が復旧している!?」
自信満々のマグカフさんと顎が外れそうなほどビックリしているバッハ様の対比がとっても面白い。
既にアオは動き始めていて、元の河岸のラインに強固な土壁を作り、更に圧縮した土の塊を次々と投入していた。
もちろん他の護岸も壊れないように補修していて、これ以上の崩落を防いでいた。
あと一時間もあれば補修工事も終わるみたいなので、テーブルセットにお茶セットを出してのんびり待ちましょう。
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