散歩の七百二十六話 酔っ払いが多い?

 そういえば、屋台は久々だなと思いつつ焼きそばを作っていきます。

 屋台といっても、僕はバックヤード側だけどね。

 あくまでも、メインは子どもたちです。

 今年はノンアルコールのジュースとかも販売しているので、お客さんの入りも上々です。

 花見祭り会場の巡回も、新人と経験者が一緒になって回っていました。


「あの、お父さん、なんで私が巡回しないと駄目なの?」

「実行委員の法被を着ていると、意外と効果あるんだよ。それに、お前は玄人側の冒険者じゃねーか」

「うう、私は商会の看板娘なのに……」


 何だかいつもの親子のやり取りを見ているけど、サマンサさんはこの中でもかなりの強さを誇るのは間違いない。

 ぶつぶつと文句を言いながら、新人冒険者とともに巡回を始めました。

 願わくは、歯向かってきた人を倒して怪我人を出さないことを祈ります。

 スーもにこやかに子ども屋台の手伝いをしていたけど、時折治療用の小屋で新人魔法使いの手伝いをしていました。

 筋は良いらしく、このまま頑張れば来年の花見祭りの治療も任せられるみたいです。

 そんな中、サマンサさんが両手でボロ雑巾みたいになった若者二人を引きずってきました。

 新人冒険者がドン引きしているけど、まだ巡回を始めて十分ですよ。

 かなり怒っているサマンサさんの頭の上に、赤いスライムが震えながらしがみついていました。


「こいつら、ナンパしたり木の下にいたこのスライムを蹴っ飛ばしたりしていたのよ。思わず、ダブルラリアットで吹き飛ばしちゃったよ」

「ああ、馬鹿やっていた訳だな。うーん、今年は人出も多いからこの手のやつは気をつけないと」

「だよね。はあ、この子もこんなに震えちゃって。兵に突き出して良いと思うよ」


 なんというか、いきなりお馬鹿さんが現れたみたいですね。

 親子してぷりぷりとしているけど、新人冒険者の顔は少し青ざめていた。


「実行委員長の娘さんって、こんなに強かったんだ……」

「俺、人が宙に浮いたの初めてみたぞ」


 実際にサマンサさんは小柄だし、吹き飛ばされた若者は背が高い。

 普通反対の評価をするだろうね。

 新人冒険者は休むことになり、別の新人冒険者がついていくことになりました。

 この分だと、僕たちも気をつけないといけないね。

 時々、アオと一緒に探索魔法で周囲を確認した方が良さそうだ。

 と思ったら、直ぐに酔っ払いが悪態をついていました。


「はあ、馬鹿やっているのが目の前にいるよ。ほら、行くよ」


 今度は、ディアナさん達が新人冒険者を連れて行きました。

 うーん、いきなり酔っ払いが増えるのは何か理由がありそうです。

 もう少し、探索魔法を広範囲に広げました。

 すると、怪しい反応が。


「実行委員長、公園の入り口で怪しい人物が何かを配っています」

「はあ? 何だと! みんな、ちょっくら行くぞ!」

「「「おう!」」」


 実行委員長だけでなく、実行委員や先代様も一緒に公園の入り口に向かいました。

 うん、このメンバーを倒せるのはそうそういないだろうね。

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