散歩の七百二十五話 遂に花見祭りの開始です
翌朝、いつもの訓練をしてから早めにみんなで花見祭りの会場に向かいました。
桜に似た花はまだ五分咲きだけど、それでもとても綺麗な光景が広がっていました。
ジュー、ジュー。
「まだ全部咲いていないねー」
「あと三日くらいしたら満開かなー」
「早く満開見てみたいねー」
テスト焼きの焼きそばを作りつつ、シロと花見祭り会場の周辺を見回していた。
既に花見客がちらほら集まっていて、中には花見をしないで僕の焼いている焼きそばの臭いに釣られている人もいた。
この世界でも、やっぱり花より団子なんですね。
「「「準備できたよー」」」
と、ここで法被を着た子どもたちが僕たちの前に集まってきた。
スー、アヤ、アイが皆の着付けをしてくれたみたいだ。
ちなみに、今年はアヤとアイが子ども屋台の会計をしてくれるそうです。
情報収集役のモルガンさんは自由に動くことになり、帝国事務官のマグカフさんも基本は自国との調整がメインで作業小屋にいます。
といっても、二人とも子どもたちが法被姿を見せるとニコリと頭を撫でていました。
「ほら、フランツとベイカーも子どもたちの相手をするのだぞ。将来自分の子どもが生まれると、こんなにも動くのかと実感するぞ」
「「はい」」
先代様の指示で、フランツさんとベイカーさんも子ども屋台を手伝います。
二人にも子どもたちは慣れているけど、その分わがままを言ったりと中々大変ですね。
「くるくるくる、どんどん焼いていくね」
「じゃあ、器にいれていくよ」
そして、何故か既にまんまる焼きの販売が始まっていた。
というのも、試食をした獣人が美味いと大声で言ってしまったのが原因だった。
実行委員長の開始の合図を待たない形だけど、問題ないと本人が言っていた。
ということで、焼きそばパンとスライム焼きも販売を始めました。
「「「いらっしゃいませ!」」」
フランとヴィヴィ、それにノア君も他の子どもたちとともに元気に声かけをしています。
その声に引き寄せられるように、どんどんお客さんがやってきました。
実行委員長も、タイミングが良いといつの間にか花見祭りの開会式を始めていました。
「それでは、今年の花見祭りを開始する。ルールを守り、思う存分楽しんでくれ!」
「「「おおー!」」」
大急ぎで焼きそばを焼いている背中で、今年の花見祭りの開会が宣言された。
さてさて、僕は今年もたくさんのお客さんと対峙することになりそうですね。
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