散歩の七百十七話 新人向け講習の始まり

 講習を行う部屋に向かい、色々と準備を進めます。

 今日は、僕が説明をしてスーが補助の予定です。

 しかし、部屋にどんどんと人が入ってくるな。

 その中には、花見祭りの会場で会った三人組の冒険者も混じっていた。

 更に、三人組の魔法使いもいる。

 そして、何と席が全て埋まってしまった。

 なのに、他にも新人冒険者がいるという。

 すると、この面々が元気よく手を上げていた。


「じゃあ、シロとアオがみんなに教えるよ!」

「「「おしえるー」」」


 そう言って、シロたちがもう一つの部屋に行ってしまい、その部屋にも新人冒険者が次々と入ってきた。

 うん、この数は完全に予想外です。


「すみません、おそくなりました。って、これは凄い数ですね」

「これでも、まだ半分だよ。別の部屋にもシロたちが向かったよ」

「これだけの新人冒険者がいるなんて、やはり花見祭りは凄いイベントなのですね」


 スーが席に座っている新人冒険者を眺めていたけど、種族もバラバラだし小さい子から中年くらいまでいます。

 種族が違う分には問題ないけど、静かに聞いてくれるのかちょっと心配なところもあります。

 というのも、机の上に足を乗っけてこちらを挑発している獣人がいます。

 にやにやとしているけど、見た目だけの可能性がが高そうだなあ

 そして、随行員の面々も半々に分かれてくれて、アヤとアイも分かれてくれました。

 それでは、座学は早めに終わらせましょう。


「今日の講師を務めるシュンです。スーが、サポートを務めます。座学を行った後、隣の部屋にいる面々と合同で持ち物講習と実技をおこないます」


 僕が簡単に流れを説明すると、殆どの人は頷いてくれたけど態度が悪い獣人は「けっ!」って表情を見せていますね。

 座学なんて、さっさと終わりにしたいのでしょう。

 まあ、僕も長くはやるつもりはないですけどね。


「皆さん、冒険者登録時に配られた冊子は持っていますか。この冊子には、冒険者活動にあたっての必要事項が書いてあります。無くさないように持っていて下さい。冒険者も一つの職業です。他人に迷惑をかけることはしないように。たまに自己責任の世界だからと勝手なことをする人がいますが、そういう人はどの職業に就いても失敗するでしょう」


 最初の話をした時に、あの獣人が苦々しい表情を見せていた。

 どうみても成人なので、恐らく他の職業で何か失敗した可能性は高そうだ。

 その後も冒険者として必要な話をしていくが、何だか気だるそうな表情を見せていた。

 これは、間違いなく面倒くさい新人冒険者ですね。

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