散歩の七百十六話 久々の冒険者ギルドへ

 翌朝、僕たちは準備を整えて冒険者ギルドに向かいます。

 講師をするだけなら、特別何かを用意する必要もありません。


「王都の冒険者ギルドと、どのような違いがあるのでしょうか」

「こういうのも、貴重な経験ですね」

「どのような情報が集まるか、非常に興味がありますね」

「ひよっこを鍛えてやらないと。腕がなるな」


 ラストさんだけ別の目的でワクワクしていたけど、随行員の面々も期待に胸を膨らませていた。

 ということで、何事もなく冒険者ギルドに到着です。

 先ずは、受付を済ませましょう。

 と、ここで見知った顔の人が受付嬢をしていました。


「「「おはようございます!」」」

「おはようございます。ふふ、相変わらず元気ね」


 あの、エルフのサブマスターさんが、僕たちの受付をしていました。

 話を聞いていたのか、すんなりと手続きが終わりました。

 というか、随行員の面々も冒険者登録していたのか。


「リリアナさんが待っているから、前にいったことのある個室に行ってくれるかしら?」

「「「はーい」」」


 ということで、早速僕たちは個室に向かいます。

 シロが先導して個室に入ると、これまた見知った顔の人が僕たちを待っていました。


「「「おはよーございます!」」」

「皆さん、おはよう。わざわざ来ていただいて、申し訳ないわね」


 うさぎ獣人のリリアナさんが、書類を手にしながら僕たちを歓迎してくれた。

 直ぐに職員がお茶を淹れてくれて、話が始まります。


「旦那は、今は執務室で仕事中よ。この時期は、とにかく大変なのよ」

「確かに、多くの人が町に繰り出していましたね」

「そうなのよ。花見とともに、美味しい食事が出るって噂になったのよ。娯楽が少ないってのもあるから、多くの人が集まってきたのよ」


 うう、間違いなくその一端を担っているのは、去年の僕の屋台です。

 その余波が、まさか冒険者ギルドまで及んでいるとは。


「だからじゃないけど、周辺領地からも多くの人が冒険者としてやってきているわ。ここは獣人にも寛容ってのもあるわね」

「そこで、僕たちに声がかかったんですね」

「そうなのよ。既に講師の経験もあるし、様々な種族が混在しているチームだからね」


 リリアナさんの言いたいことも良く分かります。

 人族の中には、獣人に偏見を持っている人もいます。

 僕たちはそういう人の扱いにも慣れているし、獣人相手でも全く問題ありません。

 スーも、コクリと頷きました。


「そうそう、帝国からも観光客が来ているらしいわ。後で、簡単な情報を教えてあげるね」


 おお、これはとてもありがたいことです。

 生の帝国の話が聞けるのは、僕たちにとってもとても有益です。

 ということで、随行員とスーがリリアナさんと話をして、僕たちは先に準備を始めることにしました。

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