散歩の七百七話 辺境伯家の息子たち

 先ずは、辺境伯家のお二人とご挨拶しましょう。

 シロたちや子どもたちも、ソファーに座りました。


「スーザン殿下、お久しぶりでございます。随行員の皆さまもようこそ、我が家へ。嫡男のオルテガと申します」

「シュン様、皆さま初めまして。次男のキーンといいます。宜しくお願いいたします」


 なんというか、二人とも長身で程よく鍛えられていて、銀髪のショートヘアと相まってかなりの美男だなあ。

 オルテガ様が二十歳で、キーン様は一個下だという。

 シロたちはともかくとして、保護された子どもたちが懐いているのも良い人という証拠です。


「ちょうどスーザン殿下が王都に来られたタイミングで、私と弟は辺境伯領に戻りました。すれ違いになってしまったようです」

「それは致し方ないかと。その分、先代様含め東の辺境伯領の方々には良くして頂きました」


 スーも、すれ違いになったのは全く気にしていません。

 というか、初めて知ったことだもんね。


「特に、スーザン殿下とシュン様のおかげで、東の辺境伯領が抱えていた諸問題が解決しました。感謝のしようもありません」

「実は、我々が王都にいる際にも教会に被害を訴えていたのですが、その取次をしていたのがよりによって人神教の関係者でした。急に担当者が変わったので理由を尋ねたら、皆さまのご活躍があったとお聞きしました」


 そういえば、王都の大教会でも人神教に関与したものがいたと聞いていたっけ。

 情報の入り口をうまく抑えられたから、必要な情報が届かなかったんだね。

 この辺りが、人神教の狡猾さなのかもしれない。

 すると、ここで辺境伯夫妻と先代夫妻も応接室に入ってきました。


「おお、皆揃っているな。スーもシュンも久しぶりだな」

「先代様、お久しぶりです」

「お元気そうで、安心しましたわ」

「なあに、小さい子どもをたくさん育てているんだ。元気でないとやってられないぞ」


 相変わらず元気いっぱいな先代様だけと、これだけ多くの保護した子どもがいると大変だね。

 ヴィヴィ、ジョディーさん、ノア君も、改めて挨拶をします。

 すると、こんな話を辺境伯様がしました。


「ちょうど良いタイミングだな、これから祭りの実行委員長がやってくる。シュンたちも話を聞いてくれ」

「それって、ある意味手伝ってくれというのと同意語な気がします……」

「いやいや、そうなるとは限らないぞ。まあ、アイディアを出してくれれば良い」


 辺境伯様、フラグを立てないでくださいよ。

 あの人の事だから、絶対に屋台は決まったと言いそうです。

 スーは思わず苦笑していたけど、子どもたちは逆に期待の目で僕を見ていました。

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