散歩の七百六話 辺境伯家の屋敷に到着
そして翌日のお昼前、遂に東の辺境伯領の領都に到着しました。
久々に見る光景に、何だか懐かしく感じました。
「やっぱり、観光客がたくさんいるね」
「もう直ぐ花見祭りが始まるから、各地からお客さんが集まっているんだね」
「ふふ、以前は宿がとれるか心配していましたからね」
僕たちは、窓から見える沢山の観光客に一年前のことを思い出していました。
それだけ町は活気に溢れていて、人通りもとても多かった。
そんな僕たちに、ジョディーさんとノア君が不思議そうに話しかけてきました。
「お祭りと聞いたのですが、こんなに沢山の人が集まっているんですね」
「花見祭りって、そんなに凄いんですね」
そっか、ヴィヴィも含めて三人は花見祭りは初めてだもんな。
ヴィヴィにはフラン達がどんな祭りかを教えていたけど、お兄ちゃんが美味しい物を作る祭りはちょっと説明が違うぞ。
主に祭りの話をしながら、僕たちを乗せた馬車は領主の屋敷に入っていきました。
すると、玄関では辺境伯様夫妻と二人の男性が僕たちを待っていました。
あの男性が、前に辺境伯様が言っていた王都で研修を受けていた息子なのかもしれません。
僕たちは、順に馬車から降りました。
「辺境伯様、わざわざお出迎え頂きありがとうございます」
「皆さまこそ、長旅お疲れ様です。応接室にご案内しますので、ごゆるりとお休み下さいませ」
ということで、僕たちは辺境伯様の案内で応接室に向かいました。
辺境伯夫妻は先代夫婦を呼んでくるそうなので、その間は息子さんが僕たちの相手をしてくれるそうです。
ガチャ。
「「「あー! おかえりー!」」」
「「「ただいまー!」」」
応接室のドアを開けてビックリ、何と辺境伯家で保護されている元違法奴隷の子どもたちが僕たちを待っていました。
久々の再会に、シロ達も思わず笑顔です。
「実は、皆さんが来ると知ったら一緒に出迎えると言っていたです。子どもたちも皆さんと会えるのを楽しみにしておりました」
長男さんっぽい男性がちょっと苦笑しながら説明していたけど、このくらいなら全然問題ありません。
既にジョディーさんとノア君も混じって、保護されているこどもたちに会っていない三人の紹介も行っていました。
そんな光景を、スーは微笑ましく見守っていました。
随行員の皆さんも、微笑ましい光景にニコリとしていますね。
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