散歩の七百四話 男爵領に軍が到着

 翌朝、何と朝イチで次の目的地の王都直轄領から軍がやってきた。

 まあ、起きた事件の内容が内容なだけに、こればっかりは仕方ないですね。


「スーザン王女殿下、陛下からの命により男爵領に馳せ参じました」

「皆さま、早朝よりご苦労さまです。闇組織の構成員への聴取は厳しく行わないとなりませんが、男爵様に罪を被せるつもりはございません」

「はっ、陛下からも未遂で発覚したで、犯罪者を厳罰するのみとの指示を得ております」


 ここでまた男爵領が混乱するよりも、地域の安定のために関係者だけの厳罰を選んだのだろう。

 現に、他の随行員とともに男爵の仕事ぶりを聞いたら、未成年なのによくやっているとの評価だった。

 だからこそ、スーもこれ以上の処罰は望まなかった。


「スーザン殿下、お心遣い誠に感謝いたします」

「あなたも大変だと思いますが、民をおもっての統治をお願いします。帝国からの帰りに、また会えるのを楽しみにしております」


 ということで、この男爵領の問題はこれで終わりです。

 人によってはぬるい処罰だと言われるだろうけど、軍も駐留することだし完全統治にはならないでしょう。

 ということで、軍の護衛も増えて僕たちは出発します。

 といっても、またアオは御者席に移動して動物や魔物の撃退にあたります。


「じゃあ、今日はフランがあのお兄ちゃんたちのところに行く!」

「ホルンも行くよ」

「ヴィヴィも!」


 ということで、今日は随行員の馬車にちびっ子三人が乗ることになりました。

 みんな、だいぶ随行員と仲良くなりましたね。

 では、今日の旅もスタートです。


「こっちは、原っぱが多いんだね」

「だから、魔物も少ないから軍も早く来たんだ」


 幸いにして今日は森を通過しないので、道中はとても安全だった。

 きっと、伯爵領から男爵領への街道と、領都周辺が危なかったのでしょうね。

 ある程度腕のある冒険者なら、良い稼ぎ口になると思うんだよね。

 そんな事を思っていると、スーが話しかけてきた。


「シュンさん、何かあった時のために余裕を持って行程を組んだのですけど、このままだと花見まつりの前に東の辺境伯領に着きそうですね」

「早く着く分には問題ないよ。でも、帝国に行くのは花見まつりの後だし、シロたちは間違いなくお手伝いをしたいと言いそうだね」

「簡単なお手伝いをする分なら、全然問題ないと思いますよ。シュンさんは、間違いなく屋台を手伝うことになりそうですけど」


 スーよ、苦笑しながらも避けたいことをズバッと言わないでよ。

 今回は、やっても治療班が良いなって思っているのですから。

 そして、結局問題なく王都直轄領に到着し、宿に入ることができました。

 その代わり、アオと馬は何もやることがなかったと不満そうでしたが。

 個人的には、何もトラブルがない方が良いですよ。

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