散歩の七百話 僕たちにとっては普通の光景

 旅も三日目に入ります。

 今日は、伯爵領に宿泊する予定です。


「またねー」

「「「またねー」」」


 子爵代理のお母さんとともに、男の子が馬車に向かって元気よく手を振っています。

 シロたちも馬車から顔を覗かせながら、元気よく手を振り返していました。

 では、今日の旅の出発です。


「じゃあ、午前中頑張って勉強しましょうね」

「「「はーい」」」


 今日はスーが随行員の馬車に乗って話をするので、僕がみんなの勉強をみます。

 というのも、今日は街道の周囲に森があるのでアオが馬とともに警戒にあたっています。


「「「うーんと、うーんと」」」

「ほら、ここはこうだよ」


 ドーン、ドーン。


 馬車の前方で魔法の反応と何かに当たった音がするけど、馬車が止まることはないし特に問題ないでしょう。

 シロたちも全く気にせずに勉強しているし、このまま勉強タイム継続ですね。

 こうして、休憩時間まで馬車が止まることはありませんでした。


「その、馬が魔法を使ってオオカミなどを倒していて、スラちゃんが念動で倒した獲物を拾ってアイテムボックスに入れていました。なので、私は本当に何もしておりません」


 御者を務めていたアイに聞くと、思わず苦笑しながら答えてくれました。

 やっぱり予想通りですね。

 そして、護衛の兵も全くやることがなかったと真顔で答えていました。

 まあ、安全で良いことですね。

 午後は、ジョディーさんもスーとともに随行員の馬車に乗りました。

 シロたちは、勉強を頑張った反動からかお昼寝タイムです。

 もし何かあったらシロたちは普通に起きているし、なんにもない証拠ですね。

 こうして、おやつタイム頃には目的地の伯爵領に到着しました。

 うん、伯爵様は特にこれといって普通の人だった。


「予定よりも、少し早いペースで進んでおります。これもシュン様のお連れしている馬のお陰です」

「早く着く分には良いと思いますし、うちの馬は長距離を走るのも好きなので。魔物退治も大丈夫ですよ」

「逆に、楽な道中なのでこれでいいのかと思っております」


 護衛の兵と明日の予定について話をしているけど、だいたい二時間は早く目的地に着いているそうです。

 うちの馬以外も念入りに回復魔法をかけたりしているので、体調もとても良さそうです。

 て、明日はある意味気をつけなければなりません。


「次の領地は、闇組織関連で当主強制交代があったところになります。なので、万が一の可能性も考慮下さいませ」


 家臣に残党がいる可能性もあるので、僕たちも気をつけないと。

 情報はシロやアオたちとも共有しているので、気をつけてくれるはずです。

 戦闘になるのだけは、出来るだけ避けたいね。

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