散歩の六百九十九話 子爵領でお買い物
夕方前には、無事に今夜泊まる子爵領に到着しました。
今夜は子爵家の屋敷に泊まるそうで、そのまま馬車は屋敷に入っていきました。
「よっと、お馬さんおつかれさま!」
「「「おつかれ!」」」
「「ブルル」」
フランたちは、馬車に降りて馬に挨拶していました。
僕たちも、馬車から降りて馬の鼻を撫でてあげます。
玄関には執事服を着た人が待っていて、直ぐに僕たちを応接室に案内してくれました。
応接室に入ると、若い女性と小さな男の子が僕たちを出迎えました。
「皆さま、ようこそ子爵領へ。昨年領主である夫が亡くなったので、私が子爵代理をしております」
「こんちわー」
「「「こんにちわ!」」」
ということは、この小さな男の子が大きくなるまでは母親が代理当主ってことなんですね。
男の子は三歳くらいだけど、とっても明るくて元気な子です。
シロたちも、ニコニコと返事をしていますね。
「皆さまを歓迎して、ささやかですが夕食をご用意いたします。お時間まで、ごゆるりとお過ごしくださいませ」
「ご配慮痛み入ります。では、少し町を散策させて頂きます」
訪ねた領地にお金を落とすのも、貴族としての大切な使命です。
僕たちは、護衛に守られながら町に繰り出しました。
「わあ、沢山のものが売っているね」
「アクセサリーもたくさんあるよ」
夕方なので客足は料理屋に向いていたけど、御用商会にはまだ客がたくさんいた。
見た目冒険者みたいだけど、子どもたちはたくさんのアクセサリーに目が向いていた。
ちょっと気になるので、冒険者に尋ねてみよう。
「すみません、この子爵領には冒険者にとって依頼を受けやすいものがあるのですか?」
「貴族っぽい兄ちゃんか。冒険者に興味を持つとは感心だな。鉱石が採れる鉱山と、薬草採取や害獣駆除がメインの森があるぞ」
おお、鉱山系もあるからたくさんの冒険者が集まっているんだ。
街道の要所だし、護衛依頼もありそうですね。
「おう、兄ちゃんはお貴族様なのに冒険者になりたいのか?」
「実は、元々冒険者なんですよ。だから、商会に冒険者がたくさん集まっているのを見てビックリしたんです」
「おお? 兄ちゃんはCランクかよ。なら、そういう話を聞くのも分かるな」
普通の馬なら二日かかる距離だけど、うちの馬なら一日あれば着く。
中々面白そうなところだし、今度依頼抜きで子爵領にきても良さそうです。
「買い物終わったよ! 男の子にも買ってあげたよ」
「そっか、それは偉いね。僕もプレゼントを買ってあげよう」
シロたちは無事に買い物を終えたみたいだし、気遣いもできるようになっていた。
僕も珍しいものを購入したけど、スーは相変わらずの光景だった。
「えーっと、これとこれとこれもお願いいたします」
またもや、お菓子の大人買いをしていました。
商人もホクホク顔でいるけど、もしかしてこの前大量購入したお菓子を食べきったのか?
ちょっと怖くて聞けませんでした。
ちなみに、夕食時に男の子にプレゼントを渡したら、とっても喜ばれました。
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