散歩の六百九十八話 随行員と親睦を深めます

 二日目の朝、僕たちは朝早く起きて旅の支度をしました。


「忘れ物はないかな?」

「「「大丈夫!」」」


 旅服に着替えたシロ、フラン、ヴィヴィは、準備万端といった表情です。

 アオが大丈夫って触手をふりふりとしているから、きっと大丈夫ですね。


 ガチャ。


「あっ、おはようございます」

「「「おはよー!」」」

「おはよう、ございます……」


 隣の部屋からスーたちも姿を現したけど、なぜかノア君だけ少し恥ずかしそうにしています。

 その理由は、ジョディーさんが教えてくれました。


「ふふ、ノアったらスーさんに抱きついて寝ていたのよ」

「うう……」

「ふふ、別に構いませんよ。他の子も、良く抱きついて寝ていますから」


 そっか、お姉ちゃんのジョディーさん以外の年上の女性に抱きついて寝ていたのが恥ずかしかったみたいですね。

 スーも、ニコリとしながらノア君の頭を撫でていました。

 ちなみに、同じ年の三人と寝るのは全然大丈夫みたいです。

 他の随行員も部屋から出てきたので、僕たちも馬車に乗り込みましょう。


「今日は、シュン様はこちらの馬車に乗っているのですな」

「ええ、皆さんともっと交流を深めたいと思いまして。午前中は、子どもたちは勉強中ですし」

「シュン様はとても勤勉な方だ。我々としても、そういう態度はとてもありがたい」


 随行員の人と顔を合わせているけど、もう少し話を聞くために随行員用の馬車に乗っています。

 ベイカーさんだけでなく、他の人たちも僕を歓迎してくれています。

 そんな僕に、モルガンさんが話しかけてきました。


「しかし、シュン殿は既に官僚試験にも合格する程の知識をお持ちだそうだが、いったいどなたがお子さんの教育をしているのですか?」

「今日は、主にスライムのアオが行っています。アオは、僕よりも試験の点数が上でしたので」

「なんと、天才のスライムだと聞いていたがそこまでだとは。そういえば、ジェフ殿下にも勉強を教えていると聞いたこともあります」


 流石はモルガンさん、僕とアオが官僚試験に合格したのを知っているんだ。

 この辺の情報収集はさすがといえるし、言いふらしたりもしないからとても助かる。


「あのスライムは、武術においてもとても強かった。北の辺境伯領で行われた、武道大会で優勝するだけのことはある」

「まあ、実際に闇組織の魔法使いを圧倒しましたし、格闘戦も魔法もとても強いです」

「闇組織との実戦経験があるのは、とても心強い。ただ個の力を発揮している訳じゃないと聞いている」


 ラストさんも、アオの事を高く評価していた。

 とんでもない能力を持ったスライムだから、ある意味目立つかもしれないね。

 その後も色々な話をしながら、昼食を食べる村に着きました。


「シュンお兄ちゃん、お話楽しかった?」

「そうだね、色々な話ができて楽しかったよ」

「えー! いーなー」


 昼食時にシロが馬車内はどうだったか聞いてきたけど、どうも色々な人とおしゃべりするのが羨ましかったみたいです。

 ちらりとスーの方を見ると、スーもコクリと頷きました。


「じゃあ、午後からはシロも随行員の馬車に乗るといいよ。もう一席空いているからね」

「やったー!」


 シロはお喋りが大好きだから、新しい人と話せるのが楽しいのだろうね。

 そして、この話に食いついて来そうな六歳組はというと、アオの勉強がキツかったのか午後はお昼寝になりそうです。

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