散歩の六百八十七話 みんなで王城へ

 翌朝、僕たちは王城に向かう準備をしています。

 もちろん、随行員と顔合わせする為です。

 今のところ、シロだけでなくフランたちやジョディーさんたちも一緒に行く予定なので、全員それなりの服に着替えます。


「それで、シュンさんが皆さんの服を着替えさせていたのですか」


 玄関に行くと、ジョディーさんが疲れた表情の僕に声をかけてきた。

 久々にフランたちが甘えたいと宣言して、全員の着替えと髪のセットをしていたのだ。

 ノア君がいるのもあって、僕と接する時間が減ったと思ったみたいです。

 その代わりに、僕はとっても疲れたけど。

 玄関に姿を見せたスーも、僕の姿を見て思わず苦笑していました。


「大好きなお兄ちゃんと、もっとふれあいたいと思っているのですよ。最近は、寝る時も一緒ですし」


 スーは、僕の服を整えながらそんな事を言っていた。

 ヴィヴィはほぼ毎日一緒に寝ているけど、最近はフランやホルンが一緒になる事が増えたんだよね。

 シロは、スーと一緒に寝る事がありました。

 子どもの気持ちって中々難しいなあと思いつつ、準備ができたので王城に向かいました。

 王城に着くと、大きな会議室に案内されました。


「それでシロよ、今日の二人はどうじゃったか?」

「えっとね、また玄関で新婚さんごっこしていたよ。なんか、普通に服を直していたよ」

「「えっ?」」


 会議室に入って王妃様がいきなり様子を聞いてきたけど、僕もスーもあれくらいは普通じゃないって思っていました。

 何故か、王妃様がなすすべなしって表情をしていますけど。

 ちなみに、今日は国王夫妻に閣僚と軍の関係者も集まっています。

 道中の警備の話もあるし、軍も同行するそうです。


「とはいえ、そのスライムを打ち破るような強敵が現れるとは思えないし、そんな強敵が現れたら帝国への視察どころではなくなる」


 トーリーさんがそんな事を言っているけど、アオが勝てないなんて竜クラスじゃないと駄目な気がするよ。

 というか、下級の竜なら絶対にアオのほうが強いけど。

 ちなみに、随行員の一人にトーリーさんが入っていました。

 何でも、帝国軍の偉い人と話をするそうです。

 僕としては、うちの馬とトーリーさんがいれば道中大丈夫な気がするよ。


「そういえば、東の辺境伯領に着く頃には花見祭りが行われているはずだ。シュンは、昨年何をしたのか?」

「えーっと、本当は救護テントに詰めて治療をする予定が、いつの間にか屋台で料理を作っておりました」

「ははは、如何にもシュンらしいな。もしかしたら、今年も屋台をやるかもしれないな」


 あの、陛下もそんなに上機嫌で不吉な事を言わないで下さい。

 本当に屋台をやりそうな可能性がありますよ。

 こうして、随行員が来るまで僕たちは東の辺境伯領の花見祭りの件で盛り上がっていました。

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