散歩の六百八十六話 明日は帝国に行く人と会います

 二月になると、ジョディーさんとノア君も屋敷の生活に慣れ始めてきて、随分と気持ち的にも楽になりました。

 やっぱり初めての場所ってのもあるので、常に緊張状態だったのでしょう。

 今では、シロたちとも仲良くなっていて、勉強なども一緒にしています。

 そんなシロたちは、今日はアヤとアイを講師に迎えて礼儀作法の勉強をしています。

 礼儀作法はキッチリ覚えた方がいいので、ここは頑張って貰いましょう。


「あー」

「うん? 何かな?」

「あぅ」

「ふふ、可愛いわね」


 そして、保護したブレアちゃんはスーに抱っこされながらとてもご機嫌です。

 いっぱいミルクを飲んで、いっぱい寝ているので、保護した当初と比べてもふっくらとしてきました。

 主にブレアちゃんの面倒を見てくれているベリアさんには、本当に頭が上がりません。

 ベリアさんの赤ちゃんのガイちゃんもとても大きくなって、話しかけるとよく笑っています。

 ガイちゃんも元気に成長していて、同じ獣人なので双子みたいですね。

 子育てに関しては、おむつ替えなどは僕たちも行っているけど侍従も積極的に行っています。

 侍従にも結婚している人もいるし、将来のための予行演習を兼ねています。

 ちなみに、うちの屋敷は子沢山大歓迎なので、使用人にとってはとてもありがたいそうです。

 屋敷によっては、仕事優先で子どもを持つのも大変なところがあります。

 幸いにしてお金はあるし、新しい使用人を雇うことも全然オッケーです。

 そして、帝国への訪問の件も動き出しました。


「スー、明日は随行員との打ち合わせだよね」

「全ての随行員が、正式に決まったそうです。もっとも、昨年のうちに候補は決まっていたそうです」

「あー」


 新年の謁見ではもしかしたら選ばれる人がいるかもと陛下が言っていたけど、スーがメインなのだから王妃様のチェックも入ります。

 なので、そんなに変な人は選ばれないはず。

 間違いなく、闇組織と繋がっていた貴族は選ばれないでしょう。


「ブレアちゃんと暫く離れ離れになるのは淋しいですけど、大きくなった姿を見るのも楽しみですわ」

「予定では三ヶ月かかるからね。ガイちゃんも大きくなりそうだ」

「あぅ」


 スーは、抱いているブレアちゃんの頭を優しく撫でていました。

 間違いなく、ブレアちゃんを育てるのは僕たちにとっても良い経験になるはずです。


 ガチャ。


「「「「終わったよー」」」」


 暫くすると、シロたちが礼儀作法の勉強を終えて部屋に入ってきました。

 残念ながら、ブレアちゃんもガイちゃんも寝ちゃったけど、それでもシロたちはニコニコしながら二人を見つめていました。

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