散歩の六百八十五話 何とか奉仕活動は終了?

 炊き出しの準備も終わったので、二人を囲んでいる貴族令嬢には解散して貰いました。

 ノア君を囲んでいた貴族令嬢がとても残念そうにしていたけど、それ以上ノア君を構うと当の本人がオーバーフローを起こしてしまいますよ。


「ノア君、大丈夫? お姉ちゃんと一緒に炊き出しのスープを配ってもらおうかと思ったけど、ここで休むかい?」

「い、いえ。少し休めば大丈夫です」


 ノア君は気丈に振る舞っているけど、ジョディーさんもお嬢様オーラに当てられて結構なダメージを負っているよ。

 シロが遊撃班から戻ってきたから、二人のフォローをお願いしよう。

 スーもいつも通り治療班に入ったし、さっそく奉仕活動スタートです。


「はい、どうぞ。熱いので気を付けて下さいね」

「おお、ねーちゃんありがとうよ」


 ジョディーさんは教会での炊き出しの経験があるのか、そつなくこなしていきます。

 厳つい顔の冒険者にも、笑顔で対応していますね。

 ノア君も頑張って炊き出しのスープの入ったうつわを配っているけど、その姿を貴族令嬢が微笑ましく見ていた。

 治療班も遊撃班も特に問題は起きていないみたいだし、問題なく奉仕活動は進んでいきます。


「うむ、問題なく進んでおるな。上々じゃ」

「そうですな。闇組織の襲撃もありませんし、平和的に進んでおりますぞ」


 王妃様と教皇猊下の偉い人ツートップも、今日の炊き出しの出来に満足していました。

 というか、いつの間にか僕の作ったスープを食べていますね。

 いつものことなので、このままにして起きましょう。

 こうして、年末の炊き出し時の襲撃が嘘のように、奉仕活動は無事に終了しました。

 恒例となった、ご褒美のオヤツを作ってみんなに配ります。

 今日は、ホットケーキです。


「本当に、美味しい。シュンさんは料理が上手ですね」

「うわあ、今まで食べた中で一番美味しいよ!」


 張り切っていたジョディーさんとノア君も、美味しそうにホットケーキを食べています。

 あと、残念ながらそのホットケーキを作ったのはアオなんですよ。

 アオも苦笑しているみたいだし、流石に黙っておきましょう。


「ノア、ほっぺたに食べかすがついていますよ」

「お姉ちゃん、ありがとう!」


 仲の良いきょうだいのやりとりには、思わずほんわかしますね。

 僕たちだけでなく、貴族令嬢たちも二人を微笑ましく見ていました。

 一部で、「尊い」とか「きょうだいの愛が素晴らしい」とか「鼻血が出そう」なんて聞こえてくるのは、気の所為だと思いたいです。

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