散歩の六百八十八話 現時点での随行員
コンコン。
「失礼します、随行員をお連れいたしました」
ちょうど話も落ち着いたところで、係の人が声をかけてきました。
全員姿勢を整えて、入ってくる人を待ちます。
すると、係の人に連れられて二人の男性が入ってきました。
「現時点での随行員だ。追加で決まったらまた顔合わせをするが、この二人は決定でいいだろう」
陛下も太鼓判を押す人だから、きっと決まった二人とも良い人で間違いないんだろう。
すると、二人は僕たちに関係のある人だった。
「ブルームバーグ公爵家のフランツと申します。いつも、妹がお世話になっております」
一人目は、なんといつも炊き出しとかで一緒になるリアーナさんのお兄さんだった。
リアーナさんと同じ青髪を短く刈り上げていて、見るからに好青年だと分かります。
「トリエンナーレ公爵家のベイカーと申します。先日はおじい様を治療して頂き、本当に感謝しております」
二人目は、新年の謁見で倒れたトリエンナーレ公爵のお孫さんだそうです。
王家とも血縁関係のある、立派な人ですね。
二人とも十五歳で、今年成人を迎えたそうです。
しかも、当主候補らしく、今回も将来のための勉強として随行員になったそうです。
間違いなく、王太子殿下が即位した際には側近として支える人たちですね。
「王国を代表して帝国に行くのだ。代表と随行員が仲違いしてはならぬ。だからこそ、スーに関係が近くて優秀なものを選んだのだ」
「帝国で代表と随行員が大喧嘩なんてしたら、それこそ王国の恥ですもんね」
「そういうことだ。随行員に限らず、同行する兵や使用人に至るまで全て厳重にチェックを受けさせている」
陛下の行くことは、至極当然だと思います。
それに、僕だけでなくシロたちやアオも問題ないと判断しているのが大きいですね。
「残りの候補者も、将来国を支える人材だ。全員男性だが、シロたちは気にしないな」
「「「良い人なら、全然大丈夫!」」」
随行員が全員男性ばっかりだけど、その点はシロたちも気にしていなかった。
要は、良い人かそうでないかがポイントです。
ジョディーさんとノア君も、この点に深く頷いていました。
「あと、簡単な道中のスケジュールだが、東の辺境伯領に着く日付次第だが数日はそのまま待機になるだろう。帝国に入国する日付が決まっているのだ」
帝国の警備の関係で、入国はキッチリとするそうです。
こればっかりは、しょうがないですね。
「シュンよ、日程に余裕があれば屋台の手伝いをしても良いぞ」
「流石に、やりませんよ……」
陛下がニヤリとしながら言ったので、思わずガクリとしちゃいました。
そう言うと、本当の事になりそうだから勘弁して欲しいです。
その後も、主に僕たちが各地で何をしていたかが話の中心だったけど、フランツさんとベイカーさんが若干引いていたのは気のせいではないかと思いました。
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