散歩の六百八十二話 ジョディーさんの意外な才能

 この日は、みんなで王城に向かいます。

 スーは公務で、僕たちはジェフちゃんと一緒に勉強をします。

 しかし、この二人はスー以外の王族と顔を合わせるのは初めてだった。


「あの、じょ、ジョディーと申します」

「その、その、ノアです」

「ジェフだよー! よろしくね!」


 先ずは挨拶ということで応接室にいるけど、今日も元気いっぱいなジェフちゃんと比較してもジョディーさんとノア君はガチガチに固まっていました。

 うん、僕も初めて王族とあった時は緊張していたから、二人の気持ちは良く分かるなあ。


「二人とも、リラックスするとよい。私は、スーの兄でもあるのだからな」

「そうですわよ。これからも何回も接するのですから、もっとリラックスしましょうね」

「「はっ、はい……」」


 王太子殿下もアナ様もにこやかに話しているけど、目の前にいるのは次期国王陛下と次期王妃様だもんなあ。

 因みに、アナ様の出産は僕たちが帝国から帰ってきてからの予定です。

 確か、夏ぐらいになると聞いています。

 王太子殿下は公務でアナ様は宮廷医の診察があるので、さっそく勉強部屋に移動していた勉強をはじめます。


「「「「「カリカリ、ペラペラ」」」」」


 今日も、良い感じで勉強が進んでいきます。

 特に、ジェフちゃんとホルンというライバルは、もの凄い勢いで勉強していますね。

 下手すると、シロとジョディーさんのレベルに追いついてしまうよ。

 でも、ただ座学をするだけでは駄目なので、今日は予定の時間に勉強を終えたら別の勉強を行います。


「はい、じゃあ作ってみましょうね」

「「「はーい、ペタペタ」」」


 アオと一緒に加工した粘土を使って、物を作る勉強です。

 今日は、粘土でバッタを作ります。

 アオが木で模型を作っているので、それを真似ていきます。


「シュンさんは、こんな勉強も教えているんですね」

「頭でっかちにならないように、感性も磨いています。様々なことに接するのは、思考力を上げますので」

「よく考えていますね。それに、みんな楽しそうです」


 ジョディーさんも粘土をこねながら、楽しそうにしている六歳組を見ていました。

 別に他の人の作っている物を見ても良いし、真似ても大丈夫です。

 インスピレーションを磨くのが、とても大切です。


「「「できた!」」」


 元気いっぱいな声を聞いたので、アオと一緒に見てみましょう。

 ホルンはいつも通り精巧に出来ていて、フランもいつも通り個性的です。

 ジェフちゃんとヴィヴィも、中々よく出来ています。


「うん、よく観察して作ったね」

「あっ、えへへ……」


 ノア君も、とても頑張って作っています。

 僕ではなく、アオが撫で撫でしていますね。

 大事なのは、褒めることです。

 まだまだ小さいので、褒めて伸ばしてあげます。


「おお、ジョディーちゃんすごーい!」

「「「すごーいね!」」」


 そして、なんとジョディーさんはホルンに近いくらいの精巧さを誇っていました。

 ジョディーさんの、新たな才能が発掘されましたね。

 次回は絵を描いてみようかなと、喜んでいる子どもたちを見ながらそう思いました。

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