散歩の六百八十一話 とても良い教材が現れた
いつもの部屋で講座を行うんだけど、幸いにして集まっているのはシロと同じくらいか少し上の子たちで、とても聞き分けが良かった。
種族はバラバラだけど、良い子たちばかりです
うん、汚れてしまった大人とは全然違います。
「一番大事なのは、悪いことをしないことです。人のものを取ったり、脅したりするのはもってのほかです。冒険者ギルド内で暴れることも駄目ですよ」
「「「はい!」」」
「また、少しでも不安なことがあったら冒険者ギルドの人や先輩に聞いてください。聞くのは恥ずかしいことではありません、何も調べずに勝手な行動をすると周りに多大な迷惑をかけます」
「「「はい!」」」
うんうん、とても良い返事ですね。
いつもこうだと、とても講習がやりやすいなあ。
僕の隣にいるスーも、とても説明しやすそうです。
しかも、キチンと質問もしてくるのも良いことですね。
ちなみに、せっかくなのでジョディーさんも一緒に講習を受けていました。
こうして座学は無事に終わったので、みんなで訓練場に移動していた時にある事件が起きました。
「がはは、ひよっこが歩いてやがる」
「ひっく。おお、本当だな。ははは」
昼間から酔っ払っている馬鹿二人が、僕たちを馬鹿にしていました。
ちょうど目の前に良い教材がいるので、新人冒険者に説明してあげましょう。
ちなみに、既に受付のお姉さんもこの状況に気がついていて、バックヤードに報告に言っていました。
「皆さん、先ほど説明しましたが冒険者ギルド内では騒いではいけませんよ。周りの人の迷惑になります。今も、大声を上げたので、周りにいた冒険者が迷惑をしていますね」
「「「はい!」」」
「「なっ!」」
「「「がはは!」」」
僕が説明をすると、新人冒険者はとても良い返事をしてくれました。
周りの冒険者も、良い例だと大笑いしていますね。
「てめー、ふざけているのか? ひっく」
「ぶ、ぶっ飛ばしてやるぞ」
今度は、酔っ払いが僕たちを脅迫しています。
でも、全く怖くないし、良い説明ありがとうって感じですね。
「先ほども言いましたが、自分勝手な理由で相手を脅迫してはいけません。そんな事をしても、自分に返ってくるだけです」
「「「はい!」」」
「「「がはは、そーだそーだ。気をつけろよ」」」
「「ぐっ!」」
周りの冒険者も揃って新人冒険者に注意するので、とうとう酔っ払いがキレてしまいました。
うーん、僕としては普通にやってはいけない事を説明しているだけなんだよね。
そして、遂に酔っ払いが刃物を抜いてしまいました。
シャキン。
「テメー、ぶっ殺す……」
「おらー! てめーら何をしてやがる!」
「「げっ」」
実は、カウンターにゴーキさんがいたのが分かっていたので、あえてそのままにしていました。
新人冒険者にはアオがついていたし、シロたちもいつでも動けるようにしていました。
バキ、ボカ!
「「ガハッ……」」
ドサッ。
うーん、あっけない。
ゴーキさんにゲンコツを落とされただけで、酔っ払いはあっという間に気絶してしまったぞ。
「お前らも、良く覚えておけ。ギルドの職員は、ギルド内で問題が起きないか常に目を光らせている。特に、今は冒険者ギルド主催の新人冒険者向け講習の最中だ。コイツラは刃物まで抜いたから、兵に引き取られるぞ」
「「「はい!」」」
普通の喧嘩なら危険行為がなければそこまで関与しないけど、今は冒険者ギルド主催の講習の真っ最中です。
冒険者ギルドとしても、酔っ払いの行動は許せるものではありません。
この後実技も行ったけど、悪いことをするとこうなるよという良い例も示せたし、結果的に良い講習でした。
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