散歩の六百八十話 冒険者登録と講師の変更

 冒険者ギルドに到着したけど、流石にお昼過ぎなので冒険者の数は少なかった。

 若めの冒険者がそこそこいたけど、多分ノア君と同じ新人冒険者なのかもしれないですね。

 そんな中、ノア君の冒険者登録を行っていきます。


「はい、これで完了です。こちらが冒険者カードなので、無くさないようにして下さい」

「あ、ありがとうございます!」

「「「「おめでとー!」」」」


 無事にノア君の冒険者登録が終わり、シロたちも祝福しています。

 すると、受付にゴーキさんが姿を現しました。

 いきなりの大男の出現に、ジョディーさんとノア君は思わずビクッとしていました。


「おお、良いところにシュンとスーがいた。この後、何か用事はあるか?」

「いえ、新しく仲間になった子の冒険者登録に来ただけなので、何もありません。公務もないですよ」

「そうか、それは好都合だ」


 ゴーキさんが腕を組みながら、満足そうにうんうんと頷いていた。

 うん、この後の流れが何となく読めた。


「シュン、新人冒険者向けの講習をしてくれ。見ての通り、最近は新人冒険者が増えていてな。今日も、十人を超える新人が登録しにきたんだよ。そういう時に限って、講師役が食べ過ぎで腹を壊したんだよな」


 どうしようもない理由で講師が来れなくなるなんて、本当に駄目駄目ですね。

 これには、スーも苦笑いをするだけだった。


「それで、僕たちに講師をして欲しいんですね」

「そういうことだ。教えるのが凄い人だと、新人も気合が入るってもんだぞ」


 あの、ゴーキさんがとても不穏な事を言っているのは気の所為でしょうか。

 僕たちのことを、ニヤニヤとしながらみているよ。

 すると、ゴーキさんは受付に集まっている新人冒険者に話しかけた。


「おーい、新人冒険者講習の代役講師が見つかったぞ。冒険者登録して僅か一年で、二つ名を得た凄腕だぞ」

「「「おおー!」」」


 新人冒険者がとても盛り上がっているけど、僕としてはある意味助かった。

 冒険者登録して一年で爵位を得たと知ったら、とんでもないことになりそうです。

 キチンと報酬も出るそうなので、さっそくいつもの講習を行う部屋に移動します。

 すると、いつの間にかシロたちが新人冒険者と話をしていた。


「ねーねー、本当に二つ名を持っているのかよ?」

「本当だよ、シュンお兄ちゃんは『雷撃の料理人』で、スーお姉ちゃんは『聖なる女帝』だよ!」

「アオはね、『チャンピオンスライム』なんだよ」

「「「おおー」」」


 シロの頭の上でアオがドヤ顔をしているけど、相変わらず冒険者っぽくない二つ名です。

 新人冒険者は、何故かシロたちのところにいるアオを凄いと褒めているので、スーは巻き込まれずに済んでホッとしていました。

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