散歩の六百七十九話 二人の冒険者服を揃えます

 昼食後さっそくノア君の冒険者登録をしようと思ったら、ある問題が発生した。

 それは、ノア君用の冒険者服がないことだ。

 流石に同じ年とはいえ、男の子のノア君にフランたちの女性の服を着せるわけにはいかない。

 更に、ジョディーさんもシスター服で冒険者活動をしようとしていた。

 たまに教会で働く予定とはいえ、これもヤバいのではとの話になった。

 シロの服も活動的なものしかなかったので、まとめて買うことにします。

 冒険者ギルドに行く前に、ヴィクトリー男爵家の御用商人のところに寄ることにしました。


「シロが、二人の服を買ってあげるよ!」

「フランも買ってあげるよ」

「魔法袋もあった方がいいよね」

「いっぱい買わないと」


 馬車内では、既にシロたちがあれもこれも必要と話していました。

 対して、二人はいきなり服を買うことになってちょっと困惑していました。


「色々な意見があると思うけど、初心者こそきちんとした装備を整えた方が良いと思うよ」

「冒険者の腕もありますが、やはり装備の良し悪しで命を落とすこともあります。お二人とも、お金のことは気にしないでくださいね」

「すみません、宜しくお願いします」

「お願いします」


 冒険者の先輩としてのアドバイスを聞いてもらって、ようやく二人も納得しました。

 たまに初心者は初心者らしい装備をしろという馬鹿な冒険者がいるけど、それは自分が良い装備を買えるのを自慢しているだけです。

 ということで、商会に到着すると二人の着せ替えタイムが始まってしまった。


「これも可愛いわ、よく似合うかも」

「えー、こっちも似合うよ!」

「あの、その……」

「僕もですか……」


 冒険者服だけでなく普段の服も引っ張り出してきて、あれやこれやと試着しまくっていました。

 うん、もう僕には止められないね。

 アオと一緒に、応接セットに座って出されたお茶を飲んでいました。

 そして一時間後、着替え終わった二人が出てきました。


「うう、ちょっと恥ずかしいです……」


 ジョディーさんは、シスター服から動きやすいパンツスタイルに変わっていました。

 赤を基調としていて、胸当てもつけています。

 騎士みたいで、とってもカッコいいと思いますよ。

 武器は、メイスなどの鈍器ですけど。


「僕もちょっと恥ずかしいです……」


 ノア君も、長袖半ズボンで胸当てをつけています。

 腕に固定式の盾を使っているので、寒くならないようにポンチョ型の上着を着ています。

 短槍も背中に装備できるようにしていて、見た目は立派な冒険者です。

 二人とも魔法袋を買っていて、初心者セットにポーションとかを入れていました。

 更に、普段着も沢山購入しています。


「じゃあ、シロがお金を払うよ!」

「フランが払うの!」

「ホルンだよ」

「ヴィヴィなの!」


 そして、誰がお金を払うかでちょっとした争いが起きていました。

 しかし、既にアオがお金を払っているのを、あと少ししたら四人は知るでしょうね。

 いずれにせよこれで準備完了なので、改めて馬車に乗り込んで冒険者ギルドに向かわないと。

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