散歩の六百七十二話 教皇猊下からのお願い

 冬の寒さも厳しくなってきた頃、僕たちに大教会の治療施設から指名依頼がきました。

 どうも寒くなったので、一気に風邪などの病人が増えたらしいです。

 屋敷でも複数の侍従が風邪を引いたりしていたから、僕たちにとっても他人事ではありません。

 ということで、みんなで大教会に向かいました。


「じゃあ、今日は治療と病室の清掃をするよ」

「「「「おー!」」」」


 治療とともに、病室内を綺麗にするのも感染予防に役に立ちます。

 空気を入れ替えてモップで床を綺麗にしたりと、やることは沢山あります。

 回復魔法が使えないシロとフランに加えて、アヤとアイも清掃を手伝ってくれます。

 治療施設の外では馬が荷物を運んでいますが、もう何回もやっているので教会のシスターも特に気にしていません。

 というか、馬から次の仕事はないかと催促しているそうです。

 では、僕たち治療班はドンドンと治療していきましょう。


 シュイン、ぴかー。


「お体の調子はどうですか?」

「すっかり良くなりました。姫様、ありがとうございます」


 スーが王女様だと知っている人もいるけど、特に畏まっている様子はありません。

 炊き出しとかもしているから、親しみやすい王女様って思われているみたいです。

 僕とアオ、それにホルンとヴィヴィはいつも通りに治療していきます。

 病人の反応も、冒険者が対応しているのをみると至って普通です。

 この方が、治療をする方としてはやりやすいです。


 サッ、サッ。


「「ふんふんーん」」


 お掃除のお仕事はお任せと言わんばかりに、シロとフランは器用にほうきをモップを使っていた。

 アヤとアイも手伝うので、一気に病室が綺麗になっていきます。

 順調に治療も進み、午前中のうちに依頼は完了です。

 しかし、別の話が僕たちを待っていました。


「教皇猊下、本日のご依頼は無事に終わりました。皆さん、調子が良くなったみたいですわ」

「スーザン殿下、いつも快く依頼を引き受けて頂き、本当に感謝します。実は、もう一つお願いがございまして。入ってくるように」


 ガチャ。


「失礼いたします」


 大教会の応接室で教皇猊下に呼ばれたけど、治療の件とはまた別の話を振ってきました。

 教皇猊下が声を発すると、応接室に一人のシスターが入ってきた。

 獣人だけど珍しい銀色のショートヘアで、耳と大きな尻尾も銀色だった。

 シロと同じくらいの年の女性で、可愛いというよりかはかなりの美形だった。


「この子はジョディーといいまして、孤児院育ちのシスターです。とても頭が良く、獣人ですが魔法を使用することができます。しかし、孤児院での教育にも限界があります。そこで、ジョディーをどうか導いて頂けませんでしょうか?」


 話は分かったけど、流石に即決できる話ではない。

 なので、ジョディーさんと軽く話をする事にした。

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