散歩の六百七十一話 ちょっとした勘違い?

 ブレアちゃんは、主に僕の部屋で過ごすことになりました。

 というのも、お乳をあげているベリアさんの次に懐いているのが何故か僕でした。

 うん、また子どもが増えるとは思わなかったよ。

 まだ赤ちゃんだけど、同じ赤ちゃんのガイちゃんとも仲良くなって欲しいですね。

 日中僕たちがいない時は、もちろん侍従がブレアちゃんの面倒をみています。

 侍従はブレアちゃんの可愛らしさにメロメロで、お世話は何故か順番制になっているそうです。

 とはいえ、僕たちもブレアちゃんを連れて仕事にはいけないので、そこは我慢しないといけません。

 ということで、今日は大教会前で炊き出しを行います。

 先月は闇組織との乱戦もあったし本当に大変だったから、今日は何事もなく終わって欲しいですね。


「スーさん、今度助けたという赤ちゃんを見に行っても良いですか?」

「ええ、大丈夫ですわ。歓迎しますよ」


 既にブレアちゃんの存在を知っているフィーナさんは、スーに普通に話しかけていた。

 すると、この発言を発端にすごい騒ぎになってしまった。


「スーさん、赤ちゃんってどういう事ですか?」

「まさか、シュンさんとの赤ちゃんですか?」

「一体、どういう事ですの?」

「み、皆さん落ち着いて下さい。落ち着いて下さい」


 うん、スーのところに貴族令嬢が一気に群がっていた。

 中にはだいぶ勘違いしている令嬢もいるけど、流石にそれはないですよ。


「あのね、冒険者ギルドに赤ちゃんが捨てられていたんだよ」

「人と獣人のハーフだよ」

「理由があって、育てられないんだよ」

「ブレアちゃんって言うんだよ」


 ここで、シロたちがブレアちゃんの説明をしていた。

 うーん、フランとヴィヴィはともかくとして、ホルンは何となくブレアちゃんの境遇を知っているみたいだ。

 ここは、深く踏み込まないでおこう。

 そして、理由を知った貴族令嬢がブレアちゃんに会いたいと言っていた。

 フィーナさんが来るし断るのも変な話になるので、炊き出しを終えたら希望者は屋敷に来ることになりました。

 でも、目の前の炊き出しをサボる訳にはいきません。

 みんな、やる気満々で炊き出しを行っていました。


「あうあう」

「わあ、ちっちゃーい」

「可愛いわ、本当に可愛いわ」

「愛らしいって、この事をいうのね」


 そして、炊き出しを終えると殆どの貴族令嬢が屋敷にやってきた。

 まだブレアちゃんは生まれたてで、僕とスー以外はベリアさんや一部の侍従しか抱っこしていない。

 なので、今もブレアちゃんをスーが抱っこしています。

 たまに、シロたちも抱っこしているけど、間違いなくアオが一番抱っこがうまかった。

 ブレアちゃんはあんまり人見知りしないのか、貴族令嬢を興味深そうに見ていた。

 手を握られても全然平気で、これは大物になるかもしれないね。

 そして、案の定貴族令嬢はブレアちゃんにメロメロになっていました。

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