散歩の六百六十九話 ドロドロとした裏話
「おっ、ここにいたのか。また面倒くさい事になったな」
部屋に入って来たのは、ギルドマスターのゴーキさんでした。
この分だと、何か事情を知っていそうです。
「どうも、今朝冒険者同士のいざこざから殺人事件に発展したらしく、それで誰かが生まれたばっかりの赤ん坊を冒険者ギルドに置いたみたいだ」
「えっ、母親も殺されたのですか?」
「というか、その母親が原因みたいだ。人族同士で同棲していたのに、産まれたのは獣人とのハーフなんだからな。どうも母親は浮気性で、あっちこっちに男を作っていたらしい。因みに、父親は母親を殺害して子どもを冒険者ギルドに預けて自首しているぞ。まあ、父親も執念深い性格だったらしいが」
うん、話を聞かない方が良かったかも。
ドラマも真っ青の、どろどろの愛憎劇が繰り広げられていたとは。
これでは、父親が刑を終えても赤ん坊を返す訳にはいかなくなった。
スーだけでなく、アヤとアイも思わずあちゃーといった表情になっているけど、流石にシロ達は何が何だか分からずにいた。
「ああ、父親は他にも複数の事件を起こしているから、多分解放されることはないぞ」
「うん、この子に説明するには話が重すぎます。話すにしても、もっと大きくなってからですね」
「私も、こればっかりは説明できる自信がありません……」
更に話が重くなってしまった。
だから、鑑定したらこの子は孤児と表示されたのかもしれない。
この子のことは、もう無視することはできないよ。
「因みに、こんな情事のトラブルは年に何回も起きるぞ。大抵が、キチンとした教育を受けていない連中だけどな」
「何となく僕も分かりました。母親も、そこまでお腹の子のことを深刻に考えなかったのでしょうね」
「特に、実力がなくて体を売るしかない人はそういう考えを持つだろう。教育ってのは、案外馬鹿にできないからなあ」
思考力を身に着ける必要を、この件を通じて痛感してしまった。
シロは何となく大丈夫だと思うけど、フラン達にもキチンとした教育をしてあげないと。
流石に薬草採取どころでは無くなってしまったので、赤ちゃんも一緒に屋敷に戻る事になりました。
「まだ生まれたばっかりですので、暫くは目を話さない方が良いと思います。幸いにして息子と二ヶ月程しか生まれた差がありませんので、お乳とかのお世話もできるかと」
ガイちゃんを子育て中のべリアさんからありがたいお言葉を頂いたので、この子は僕たちが面倒をみる事になりました。
当分はべリアさんがガイちゃんと共に面倒をみるとのことですが、できるだけ負担にならないように僕たちも面倒をみるようにします。
因みに、スーが王城にこの事を連絡したらジェフちゃんが真っ先に会いたいと言ってきたそうです。
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