散歩の六百六十七話 ちびっ子への勉強方法

 会談が終わるとジェフちゃんの勉強タイムなんだけど、時間があるからとトリエンナーレ公爵と王妃様も勉強の様子を見る事になりました。

 勉強に使っている部屋に移動し、さっそく勉強を始めます。


「えっとね、引き算はこうやるんだよ」

「「「「かきかきかき」」」


 僕だけでなく、シロやアオも勉強を教えています。

 ただ書くだけでなく、たまに木の棒やお金を使って実践的な勉強もしています。

 更に、絵を描いたり魔法の勉強をしたりと、頭でっかちにならない為の勉強方法をとっています。


「色々な事を体験して、感性も磨いています。自分の考えや意見を持つように、興味を持って自分から動くようにしています」

「あと、ジェフちゃんにはホルンちゃんというライバルかいるので、負けないようにと子ども心ながらに思っているみたいですね」


 頑張って勉強している様子を説明していたら、二人の偉い人がふむふむと唸っていた。

 普通の貴族の教育がどうか知らないけど、将来の国王陛下になる予定のジェフちゃんには、色々な事を経験してあげた方が良いと思っています。


「ふむ、これは中々面白い教育だ。しかも、一見すると遊びに見えるが高度な事をやっている」

「シュンは以前幼児向けに使えるものを作ったが、今回のものもまとめておくのじゃ。興味深い教育じゃのう」


 こうなるのは何となく予想できていたので、大体のことをまとめた資料を二人に手渡した。

 因みに、王太子殿下とアナ様にも同じものを渡しています。

 二人は、満足そうに受け取った資料を眺めていた。


「専門家に渡して、精度を上げよう。これは中々良いものだ」

「教育施設の検討をしていたが、マニュアルに使えるのう。レベルに併せて改訂すれば、十分に対応できるぞ」


 えっと、教育施設の件っていったい何だろうかと思った。

 そういえば、この世界には学校みたいなものは存在していなかった。


「帝国には、学園というものが存在するという。そこで、教育を行って一定水準以上の知識を得るようにしているのだ」

「王国は、残念ながら貴族の力によるものが大きい。今回の闇組織の件を受けて、貴族や平民の教育についてどうするか検討しているのじゃ」


 確かに、人神教にとらわれたアホな貴族が多かった。

 貴族家に教育を任せっきりにしていたのもあり、王宮で人を襲うという碌でもない当主もいた。

 そういう意味でも、知識を得るのは良いことだと思う。

 帝国は、色々なところで王国との違いがあるんだ。


「終わったー!」

「できたー」

「「うーん、うーん」」


 そして、シロとアオの計算問題をジェフちゃんとホルンが同時に解いていた。

 トリエンナーレ公爵と王妃様の父娘は、頑張った二人の頭を優しく撫でていました。

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