散歩の六百六十六話 トリエンナーレ公爵との会談

 そして、改めてということで王城で王妃様のお父さんのトリエンナーレ公爵と会うことになりました。

 トリエンナーレ公爵と娘の王妃様はもちろんのこと、ひ孫のジェフちゃんも一緒に参加しています。


「ひーおじーさま、元気になったんだ!」

「おお、そうだよ、ジェフちゃん。シュンとスーが、治療してくれんだよ」

「おおー!」


 トリエンナーレ公爵は、膝の上にジェフちゃんを乗せてとってもご機嫌です。

 こう見ると、大貴族というよりかは好々爺って感じですね。


「二人には感謝しかない。あらゆる手を使ったのだが、病状は進んでいったのだ。せめてもう一人のひ孫を見るまではと思っていたが、ここまで元気になるとは思わなかった」

「妾からも礼を言おう。父は昔から頑固じゃったので、きっと普通の状況では治療を受けるとは思わない。ああして、強制的に治療を受けざるを得ない状況がかえって良かったのかもしれないのう」


 まだ痩せていて体力は落ちているらしいが、それでもトリエンナーレ公爵の顔色はとても良かった。

 というか、個人的には親子の性格は一緒な気がするよ。


「今回の件を受け、儂は引退して息子に爵位を譲ることにした。国内が大変な時に、バリバリと働けないのは貴族としてあってはならぬ。今は病気は治ったとはいえ、体力は落ちているからのう」

「でも、引退してゆっくりできれば、こうしてひ孫のジェフちゃんと遊ぶことができますね」

「シュンよ、そのくらいにしておくのじゃ。父のことだ、毎日王城に顔を出すようになるぞ」


 王妃様が苦笑しながらトリエンナーレ公爵を止めていたけど、ジェフちゃんの近くにいることで他の貴族の接触を避けることもできる。

 特にアナ様の出産前後は、多くの貴族が祝いに来るはずだ。

 そういう意味でも、良い後ろ盾になるでしょうね。


「あと、トリエンナーレ公爵家が二人の後ろ盾になろう。手柄を立てて一気に出世していく貴族はたまにいるが、後ろ盾がなくて潰されることもある。既に各地の辺境伯が後ろ盾なっているが、平常時は王都にいない。そういう意味でも、我が家の力があった方が良いだろう」

「「ありがとうございます」」


 スーは、いわば妾の子という扱いになる。

 正式に王族になったけど、何かしら文句を言ってくる貴族はいるだろう。

 そういう意味でも、トリエンナーレ公爵の力はありがたい。

 他にも報酬を出すと言ってきたが、もうお金はお腹いっぱいなんだよなあ。

 屋敷の改修費に充てるとしよう。

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