散歩の六百六十二話 各辺境伯が領地に帰ります
今日は、辺境伯様たちが各地の領地に戻る日です。
護衛をする冒険者たちを伴って、王城に集まりました。
陛下に出発の挨拶をする為です。
その間、僕たちは他の面々と話をします。
「東の辺境伯領以外の人たちとは、来年会うことになるんだね」
「順調ならな。領主様の護衛ができるなんて、冒険者にとっては名誉なことだし」
多くの冒険者にとって、貴族から指名依頼を受けるのは一種のステータスに繋がる。
他の冒険者とは違うという、分かりやすさもある。
ジジたちも、その点はよく理解していた。
それに冒険者だからか、付き合い方もさっぱりしていた。
因みに、マヤさんとセラさんも一緒に東の辺境伯領に戻るそうです。
別れを悲しんでいたのは、この方だった。
「うう、またスーお姉様と離れるなんて……」
スー大好きっ子のフィーナさんが、一年間スーと離れるのを悲しんでいた。
トリアさんも、何だか寂しげな表情をしていますね。
でも、辺境伯家としての務めがあるので、このまま王都に残る訳には行きません。
中々気持ちは難しいですね。
「「「「ううっ……」」」」
そして、シロ達もだいぶ寂しそうにしています。
各地で出会った人たちと再び会ったのに、また離れ離れになるのもありそうです。
ジェフちゃんも一緒になって、しょぼーんとしています。
因みにアナ様とスーは謁見に参加しているので、代わりに僕とアオでジェフちゃんの面倒をみています。
まあ、アヤとアイもいるし、何かあっても大丈夫です。
ガチャ。
「ただいま戻りました」
「ジェフ、良い子にしていたかな?」
と、ここで謁見に参加していたスーとアナ様が応接室に入ってきたけど、元気なさそうな面々を見て思わず苦笑していた。
そして、アナ様はジェフちゃんの隣に移動して頭を撫でていた。
スーも、フラン達の隣に移動していますね。
「ジェフ、みんなとはもうずっと会えないわけじゃないのだからね。だから、笑顔でお見送りをしてあげましょう」
「うん……」
まだしょぼーんとしているジェフちゃんに、アナ様は優しく語りかけます。
スーも、フランたちを抱きしめて話をしていました。
そして、見送りの為に全員で王城の外に出ました。
「シュン、スー、また会おう」
「私たちとは、春に会うな。楽しみにしているぞ」
「今度は、武道大会にゲストとして来てくれ」
「孤児院の修復も順調だ。機会があったら、様子を見てやってくれ」
僕とスーは、各辺境伯様と握手をしました。
冒険者たちとも、がっちりと握手を交わします。
そして、フィーナさんとトリアさんは、シロ達とジェフちゃんと別れを惜しんでいますね。
でも、遂に出発の時間となってしまいました。
全員が、それぞれが乗車する馬車に乗り込みました。
「それでは、出発する」
「「「またねー!」」」
そして、お互いが手を振りながら姿が見えなくなるまで手を振っていました。
出会いもあれば別れもある、改めてそう感じた一日でした。
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