散歩の六百五十九話 みんな勲章をもらうことに

 そして、夕食の準備ができたので、一斉に食堂に移動します。


「「「おおー」」」


 食堂には豪華な食事が並べられていて、シロたちも冒険者たちも歓喜の声を上げています。

 それぞれが席に着いたところで、先にスーが明日の予定を話します。


「皆さま、今日は色々とご対応頂きありがとうございました。実は、皆さまに勲章が授けられる事になりました」

「「「えっ?」」」

「明日朝、王宮にお集まり下さい。服装は、冒険者服で構いません」

「「「「おおー!」」」」


 まさかの展開に、冒険者たちは固まってしまいました。

 とはいっても、炊き出し時の大捕物や今朝の王宮前広場での闇組織の撃退を考えると、至極当然だと思っているけどなあ。

 そして、スーはおめでとうと拍手をしているシロたちにも話をしました。


「そうそう、フランちゃんたちも一緒に勲章を貰うわよ。皆んなは、キチンとした服装で行きましょうね」

「「「はーい」」」


 まあ、フランとホルンは各地を回った時にも功績を上げているから、妥当といえば妥当なんだよね。

 ヴィヴィは、冒険者と同じ理由でしょう。

 スーからの話はこれで終わり、今度はジジたちが今後の予定を話しました。


「俺たちは、一週間後に南の辺境伯領に戻る予定だ。実は、辺境伯様から護衛を頼まれていてな」

「私たちもそうね。商会も一週間もすれば落ち着くし、辺境伯様と共に東の辺境伯領に戻る予定よ」

「「「「すごーい!」」」」


 辺境伯様に護衛を任せられるのは、冒険者としてとても名誉な事です。

 きっと辺境伯領に戻っても、大活躍するでしょうね。

 今度は、サマンサさんがスーに質問してきました。


「スーさんは、いつ帝国に向かうのですか?」

「予定では春頃です。ただ、まだ随行員が決まらないのでどうなるかは分かりませんけど」


 既に、一般向けにもスーが帝国に行くと発表されています。

 そして、帝国に行くには東の辺境伯領を通過しないとなりません。


「うーん、うまくタイミングが合えば、また祭りのお手伝いをして貰おうかとおもったのですけど……」

「おい、王女と子爵をこき使うのかよ!」

「あたっ!」


 ディアナさんの容赦ないチョップがサマンサさんの頭に直撃したけど、僕としてはもう屋台だけは勘弁して欲しい。

 まあ、タイミング的には合うけど、何かあったら駄目だから見学くらいでしょうね。

 話が長くなったけど、せっかくの料理が冷めちゃうので乾杯しましょう。


「それでは、皆さまにとって今年一年が良い年になるように、乾杯!」

「「「乾杯!」」」


 スーの乾杯の音頭で、夕食が始まりました。

 一斉に食事を始め、皆んな美味しいと喜んでいます。

 事前準備を頑張った甲斐がありました。


「もぐもぐ、パパ、お肉美味しいね!」

「ヴィヴィ、焦らずによく噛んで食べたね」

「うん、もぐもぐ」


 そんな中、僕がヴィヴィの世話をしていると、他の面子がニヤニヤとしていました。

 うん、何を言いたいのかは分かるので、あえて聞きません。

 こうして、少し豪勢な料理はあっという間に無くなり、そして冒険者たちはそれぞれの宿に帰って行きました。

 因みに、今日は使用人向けの料理も豪勢になる予定です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る