散歩の六百三十四話 年末の炊き出しに向けてのテスト
年末の炊き出しも近くなったのですが、今日は練習を兼ねて大教会前で炊き出しを行うことになりました。
参加者が多いので、動線や警備の確認も兼ねるそうです。
参加者は僕たちと知り合いの冒険者、それに参加可能な貴族令嬢です。
軍と聖騎士も動員していて、既に警備はどうするかなどを話し合っていました。
そして、貴族令嬢は僕たちと一緒に活動をしていた冒険者に好奇の視線を向けていました。
「皆さまは、スーザン殿下と一緒に冒険者活動をしていたのですね」
「一体、どのような活動をされていたのでしょうか?」
「シュンさんの料理を食べていたんですよね? 美味しかったですか?」
「「「えーっと……」」」
この世界のお嬢様は遠慮なく話をしてくるので、逆にジルたちの方がタジタジになっています。
とはいえ、獣人にも悪意を向けているわけでもないし、ここは独力でどうにかして貰いましょう。
僕たちも、特に警備に関しては厳重にチェックを行います。
同時に、料理に関しても食材のチェックなどを行います。
どんな料理を作るかサンプルを作って、試食も行います。
ということで、今日は炊き出しは少量しか作らないので、残念だけど市民への提供は無しです。
その代わりに、無料治療を行うことになりました。
スーは治療に参加できないけど、他の面々で十分に対応できています。
シュイン、ぴかー!
「おお、剣士のねーちゃんも治療ができるのか?」
「あたしが治療できるのは、簡単なものだけだよ。流石にスーみたいに、重傷は治療できねえ」
「あの王女様の治療は凄いって聞くぞ。まあ、今日はこれで十分だ」
ディアナさんは簡単な回復魔法が使えるので、今日は積極的に治療を行っていました。
貴族令嬢の中でも、リアーナさんのように回復魔法が使える人も治療を行っています。
なので、治療をする人の護衛をどうするかも話し合われました。
もちろん、不審者を捕まえるのは実際に動いていて、今日も馬が大活躍です。
「よし、できた。じゃあ、試食してくれ」
「「「「わーい」」」」
休憩時間になって、僕とアオの試食が出来ました。
今回は、焼肉と野菜たっぷりのスープがメインです。
そして、パンだけでなく南の辺境伯領で作るお米を使った焼きおにぎりも提供されます。
シロたちだけでなく冒険者たちも一斉に試食を食べ始め、貴族令嬢も料理を食べ始めました。
「「「「おいしー!」」」」
「「「うめー!」」」
うん、シロたちと男性冒険者の感想は当てにならないな。
ということで、他の人たちの意見を聞くことにしました。
「あの、この料理を炊き出しで提供をするのですか?」
「どうみても、炊き出しで提供するレベルを遥かに超えていますよ」
マヤさんとセラさんが目を丸くしてビックリしていたけど、実は今回は王妃様のリクエストで良い年を迎えられるようにと料理は張り切ってくれと言われています。
なので、作りやすいけど美味しいものをメインにしました。
「流石です。とても美味しいですね。これで、十分だと思います」
義母の話を聞いていたスーは、僕の作った料理に満足そうに頷いていました。
料理は、これで問題なさそうですね。
こうして、年末の炊き出しの確認も十分に出来ました。
あとは、当日を迎えるだけですね。
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