散歩の六百三十五話 炊き出し前日の仕込み

 そして年末の炊き出しの前日、僕たちは準備が少なく済むようにと屋敷で仕込みをすることになりました。

 というのも、毎年年末の炊き出しは人が集まる上に今回は料理が凄いと話題になっているそうです。

 事前にやっておかないと、当日が大変になります。


「じゃあ、まずは野菜を切ろうか。でも、怪我をしないようにね」

「「「「おー!」」」」


 スーにアヤとアイは王城に行っていて、マヤさんとセラさんは商会の手伝いをしていて不在なので、僕とアオに加えてシロ達も一緒に加わります。

 フランとヴィヴィは包丁で野菜を切るのが苦手なので、別の料理をやって貰います。

 鶏肉を包丁で細かく刻んでひき肉にして、同じく刻んだネギや生姜に調味料をボウルに入れます。


「じゃあ、二人とも宜しくね」

「「お任せだよ! こねこねこね」」


 二人には、鶏ひき肉を使った肉団子を作って貰います。

 というのも、先日のテストの際に野菜スープだけでは具材が足りないのではとの指摘がありました。

 なら、ひと手間加えた料理を作ることにしました。

 肉団子から出汁も出るし、味も一段階上がります。


 トントントントントン。


「シュンお兄ちゃん、もっと切る?」

「切って良いよ。多めに準備する分には問題ないよ」

「分かったー!」


 そして、残った僕たちでひたすら肉と野菜を切っていきます。

 時々、フランとヴィヴィ用に鶏ひき肉や調味料を準備します。

 二時間もすれば、十分な量が準備できました。


「じゃあ、終わりだね。おやつに、クレープを作ってあげるよ」

「「「「わーい!」」」」


 途中休憩を挟みながらもシロたちは頑張ってくれたので、おやつにご褒美を作ってあげます。

 お小遣いとどっちが良いって聞いたら、絶対にクレープの方が良いと言っていました。

 果物を多めにして、甘いクレープにしてあげましょう。

 そして、お昼は肉団子汁も出して味を確認します。

 僕が試食したら問題なかったけど、子どもが食べて問題ないかも確認しないと。


「ただいま戻りました」

「「「「お帰り!」」」」


 ちょうど良いタイミングでスーも帰ってきたので、肉団子汁の試食をしてもらいましょう。


「あの、それで私たちも試食をするんですか?」

「みんな、美味しいしか言わないから参考にならないんだよ」

「確かに、シュンさんの料理はとても美味しいですから、皆さんの気持ちも良く分かります」


 結局シロたちもスーも美味しいとしか言わなかったので、夕食時にマヤさんとセラさんにも試食して貰うことになりました。

 しかし、二人ともまたもや美味しいという感想のみでした。

 不味いとは決して言わなかったので、明日はこれで行くことにしよう。

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