散歩の六百二十話 少しドタバタな昼食会

 昼食の時間になったけど、僕たちだけでなく辺境伯様や子どもたちも一緒に食事をする事になりました。


「みんな、こっちだよ!」


 大勢の人がいるので、ジェフちゃんが張り切って先導して行きます。

 もちろん、係の侍従も一緒にいるけどね。

 そして、食堂に着くとまあビックリ。


「な、何じゃこりゃ……」


 そこには、度肝を抜かれる光景が広がっていました。

 屋敷の何倍もの広さのスペースに、巨大な長テーブルが設置されていました。

 調度品もさることながら、天井には巨大なシャンデリアが設置されていて、室内を煌びやかに照らしています。

 洗練された侍従が控えていて、やはり王城そして王族は凄いのだと改めて感じました。

 そして、僕たちは指定された場所に座って行きます。

 もちろん爵位順で、スーは王女扱いなので王族の席に座って行きます。

 僕は下座の方で、子どもたちの面倒を見るポジションです。

 全員座ったところで、食事が運ばれます。


「わあ、とっても美味しそう!」

「良い匂いがするよ」

「早く食べたいな」

「こらこら、もう少し待ちなさい」


 お腹を空かせたフランたちの視線が豪華な料理に釘つけだったので、僕は慌てて三人を止めました。

 陛下も少し苦笑しているけど、直ぐにグラスを手にしてくれました。


「では、乾杯としよう。本日は、多忙の中また遠いところから各辺境伯が集まり感謝する。今年一年の無事と来年が繁栄あるものになるように祈願し、乾杯とする。乾杯」

「「「乾杯!」」」


 陛下の乾杯の音頭で、昼食会が始まった。

 小さい子向けには肉なども小さく切られていて、フランたちもとても食べやすそうにしています。

 昼食会なのでお酒の提供はないけど、大人も料理を堪能しています。


「パパ、とっても美味しいね」

「ああ、口を汚して。拭いてあげるからじっとしていな」


 僕はというと、一番年下のヴィヴィの世話に追われていた。

 うう、自分の食べる時間が中々ないよ。

 と、ここで救世主登場です。


「シュン様、ヴィヴィちゃんのお世話は私が行います」


 トリアさんがヴィヴィの横に来てくれて、世話をしてくれた。

 その間に、僕は急いで料理を食べます。

 うう、せっかく良い料理なのに、味わう時間がないよ。


「今度は、こっちが口の周りがベタベタじゃないか。拭くから動くなよ」

「もぐもぐもぐ」


 さささと食べて、今度はフランの世話をします。

 ホルンはとても綺麗に食事をするので、シロと一緒にいれば大丈夫です。

 こうして、怒涛の勢いで昼食の時間はすぎていきました。


「ははは、シュンは相変わらず世話を焼くのう」

「本当ですな。子どもの世話は、本当に上手だ」

「だからこそ、保護した子どもたちもシュンに懐いたのだろう」

「子どもに好かれるのは、良い人物の証拠だ」


 各辺境伯様がとてもありがたいことをおっしゃっているけど、世話好きなのは僕の性分なのでどうしようもないかも。

 こうして、にこやかに昼食会は進んで行きました。

 各辺境伯様は午後も会議だそうですが、僕たちは午前中で開放される事になりました。

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