散歩の六百十八話 辺境伯会議の始まり
そして、西の辺境伯様の背後からこの人が姿を現しました。
「シュン様、お久しぶりです」
「あれ? 何でトリアさんがここに?」
「エミリア様から『しっかり仕事をするように見張っていて』と言われまして……」
うん、西の辺境伯様のことを考えると、色々なことをサボることも考えられます。
でも、エミリア様は妊娠しているし先代様もマリア様が妊娠している。
ケントちゃんはまだ小さいので、辺境伯様を叱ることは難しい。
ということで、トリアさんが一緒についてきたみたいです。
トリアさんがアナ様と共にちびっ子たちを見てくれるそうなので、僕たちは会議室に移動します。
「スー、新しい屋敷はできたのかい?」
「先日より住み始めております。その、まだお風呂は工事中ですけど」
「訪ねる分には問題はないのか。新年までの間に、フィーナを連れて屋敷を訪問しよう」
歩きながら北の辺境伯様がスーに尋ねているけど、これから多くの人が屋敷を訪れそうです。
僕たちの場合は冒険者の知り合いも多いので、様々な人が訪れそうです。
そして、会議室に入るとガンドフさんが各辺境伯様に挨拶を行いました。
「皆さま、この度は姪のスーが大変お世話になりました。無事に旅を終えられたのも、皆々様のおかげです」
「こちらこそ、スーに世話になった。騎士団長の姪だけあって、メキメキと強くなった」
「住民からも高評価だったし、ツワモノにも人気があったぞ」
「治療の腕は一級品だし、優秀な魔法使いでした」
「息子も町の人も、スーがいて良かったと言っていた。中々の傑物だ」
各辺境伯様は、スーの事をベタ褒めしていた。
ガンドフさんも、ニコリとしていますね。
全員が席に着くと、直ぐに会議が始まります。
といっても、基本は各辺境伯様からの報告です。
「辺境伯領をくまなく調べましたが、闇組織のアジトと思われるものは見つかりませんでした」
「うむ、報告ご苦労。となると、王都周辺の別の場所にあるか、はたまた別のところになるな」
各辺境伯領で闇組織の襲撃などがあったけど、全てが組織の人間が派遣されたものだった。
王都でも複数の闇組織の緩傾斜が捕まっているけど、まだ尻尾を掴めないでいる。
人神教の総本山が闇組織の本拠地の可能性が高いけど、中々上手くいかないもんだ。
「とはいえ、年始の際に奴らが何かをしてくる可能性は高い。各辺境伯においても、十分に注意する様に」
「「「「はっ」」」」
年末年始は、どの領地でもお祭り騒ぎになるそうです。
そんな時は、悪が暗躍する絶好のタイミングです。
既に各領主宛に警戒するようにと周知がされていて、巡回を強化しているそうです。
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